世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月10日

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 上記のフィッシャー元ドイツ外相の論考は、主に、二つのことを述べている。一つは、トランプ政権のやり方は、米国と同盟諸国との関係を悪化させているということである。もう一つは、トランプ政権のやり方は、中国を利することになるという主張である。

 これらの主張が正しいかどうかは、少し先を見て行かなければ分からないが、既に起きている現象からは、どうやらフィッシャー元外相の言うことは当たっているようである。

 例えば、イラン合意やパリ協定からの米国の離脱は、欧州諸国との協調政策を壊すことになった。仏独英は、共に合意をした中国やロシアと協議するようになる。

 米朝首脳会談にしても、北朝鮮の非核化が何も進まないうちから、米韓合同軍事演習の中止をトランプ大統領が一方的に宣言したり、在韓米軍の縮小をほのめかしたりした。これらは、北朝鮮が望んでいたものであるし、その後ろ盾となっている中国が喜ぶことでもある。

 トランプ大統領が始めた貿易戦争も、米国内の雇用を増やすために行われたが、報復関税が相手国で行われ、その結果、米国企業が海外で生産を始めるきっかけをも作ってしまった。

 このように、気を付けないとトランプ大統領の意図しない方向に事態は推移しかねない。その意味で、フィッシャー元外相の見方は傾聴に値する。

  
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