世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月26日

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 7月11~12日、ブリュッセルでNATO首脳会議が開催された。今回の首脳会議を巡っては、トランプ米大統領が加盟国の国防費を現行の目標の倍に当たるGDP比4%まで増額するよう求めたり、ドイツの国防費負担の過少やエネルギーのロシアへの依存を厳しく非難するなどといったこともあり、報道等ではもっぱら欧米間の亀裂に焦点が当てられた。ストルテンベルグNATO事務総長は、そういう中で、その亀裂を何とかマネージしようと努力した。ここでは、首脳会議閉幕後の同氏の記者会見の冒頭発言の概要を紹介する。

(gmaydos/MilanMKM/seamartini/JoLin/seamartini/iStock)

 大変良い首脳会議だった。我々は、NATOの抑止力と防衛力を高め、テロとの戦いを強化し、全加盟国の負担の分担を公平にする、重要な決定をした。

 負担の分担について、忌憚のない議論ができた。すべての加盟国は、トランプ氏のメッセージを明確に聞いた。我々は、トランプ氏が国防費について非常に真剣であることを理解している。このことは、はっきりしたインパクトをもたらしている。長年、加盟国は国防費を減らしてきたが、今や増額に転じている。トランプ大統領の就任以来、欧州の加盟国とカナダは410億ドルを防衛費に追加支出した。すべての加盟国はこの額を大きく増額すると約束している。米国の支出を減らすことに繋がろう。

 トランプ氏の防衛費への強いリーダーシップのお陰で、全加盟国が努力を倍加することに同意している。これはNATOを強化するものだろう。全加盟国はNATOにコミットしている。NATOは欧州にとっても北米にとっても良いものだからだ。二度の大戦と冷戦は、我々がバラバラでいるよりも団結した方が強くなれることを示している。NATOが第5条(集団防衛)を発動したのは、9・11の対米テロ攻撃の時が唯一である。

 さらに、米国の欧州におけるプレゼンスは、アフリカ、アジア、中東への米国の戦力投射にとり枢要である。欧州の軍、インフラ、諜報は、我々が攻撃性を強めるロシアに直面している時にあって、米国を守ることになる。要するに、NATOは米国の力を増大させる。我々は、相違点にも拘わらず、我々の安全保障にとり、より多くのことをしている。

 今回の首脳会議で我々は、即応態勢の強化、軍事的能力の向上、新たなサイバー作戦センターと対ハイブリッド戦支援チームの設立を決めた。NATOのテロとの戦いへの貢献の加速も決定した。また、NATOの門戸開放(マケドニア、ジョージア、ウクライナ等)を維持することも明確にした。

 NATOは、ロシアに対する防衛と対話の両様のアプローチへのコミットを維持する。ロシアの行動がそれを可能にする時は、我々は建設的な関係を望む。

 NATOは、欧州と北米の重要な絆を体現し、安全、自由、共通の価値を守っている。ブリュッセルでの首脳会議における決定は、世界が変容する中、欧州と北米がNATOの枠組みの中で協力、協働するということを示している。

出典:‘Press conference by NATO Secretary General Jens Stoltenberg at the conclusion of the Brussels Summit’,July 12, 2018 ,NATO
https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_156738.htm

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