WEDGE REPORT

2018年8月26日

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吉村慎司 (よしむら・しんじ)

フリージャーナリスト・北海道国際交流・協力総合センター研究員

1971年鳥取市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科修士課程修了。97~2010年日本経済新聞社勤務。11年ロシア・ウラジオストク国立経済サービス大学短期留学。現在は札幌市を拠点に、フリージャーナリストとして幅広い分野を取材している。公益社団法人北海道国際交流・協力総合センター(HIECC)研究員も務める。

――元大の投資は夕張にとどまらず、今春、小樽市にある歴史建造物も買いました。

 「和光荘」といって、大正時代に建てられた、当時の「北の誉酒造」社長の私邸です。宿泊施設として使われたこともあり、昭和天皇ご夫妻がお泊まりになったほど格調高い建物です。しばらく閉館していましたが、ご紹介があって元大で買い取ることにして、この7月に一般公開を始めました。

元大が買った「和光荘」(小樽市)

 冒頭に申し上げた夕張鹿鳴館も同じですが、歴史建造物というのはただ残しているだけではかえって傷みが進んでしまうもので、活用する方が建物にとっても地域にとってもプラスがある。小樽は有名な観光地ですから、この施設とのつながりで夕張の宣伝も可能です。今後いろいろな連携が考えられます。

――昨春夕張の施設売却が発表された後、買い手が中国人経営の企業であることに警戒感を示すマスコミもありました。日本では欧米資本にはさほど抵抗感がない一方で、中国と聞くと拒絶反応を示す人が出てきます。中国人としてどう感じますか。

 悪く言う人がいるのはわかっています。警戒する人、半信半疑の人もまだまだ多いんじゃないでしょうか。でも疑う人には、中身を見てくださいと言いたい。例えば、もし私が施設を右から左へ転売するのが目的だったとしたら、こんなに投資したら割に合いません。去年施設買い取りが決まってから夕張のことを毎日考え続けていて、東京から何度も何度も足を運んで、友達からは一体お前どうしちゃったんだ、病気なのか、と心配されています。もう今は、夕張の成功が自分の人生の成功、というくらいの覚悟でやっていますよ。

――そろそろ夏休みシーズンも終わり、少しずつスキー場の稼働に向けた準備が本格化しますね。各施設はここからどんな変化を見せるのでしょうか。

 今年6月に、サイモン・マさんという香港の芸術家と提携をしました。この人はブルガリの時計やフェラーリの車にデザインを提供している有名アーティストです。彼の監修の下、スキー場もホテルも、アートを全面に打ち出した改装に入ります。施設の名前も変えます。夕張に、ほかのどこにもないような空間ができるでしょう。10月ごろには詳細を発表できると思います。楽しみにしていてください。

  
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