前向きに読み解く経済の裏側

2018年9月18日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、退職金での投資デビューの危険性について解説します。

(oneinchpunch/Gettyimages)

 退職金は、会社にも人にもよりますが、1500万円も2000万円もの大金となる場合も多いですから、今まで手にしたことのない金額が突然振り込まれて来るわけです。気持ちが舞い上がってしまう人も多いと思います。

 そんな時に、銀行の支店長から「是非お目にかかりたい」などと言われたら、冷静さを失って支店長の言いなりに様々な金融商品を購入してしまうかもしれませんね。

 退職金は、銀行に振り込まれるのが普通ですから、銀行は誰がいつ何円の退職金を受け取ったか、手に取るように把握しています。そこで、銀行から退職者にアプローチをして来るわけですが、普段は窓口で冷たく対応されている預金者が支店長室に通されたりすると、急に偉くなったような錯覚に陥り、「さすがはお目が高い」などと言われると聞きたいことも聞けなくなって言われるままに契約してしまう場合も多いでしょう。

 銀行は、もちろん顧客第一を考えている筈ですが、そうは言っても銀行員はサラリーマンであり、支店長も本部から厳しいノルマを課されているわけですから、顧客に多額の投資信託を購入してもらいたいと考えていることは間違いないでしょう。しかも、どうせなら手数料率の高い投資信託を買ってもらえれば嬉しいと考えている筈です。

 そこで、中には顧客の利益よりも自分のノルマ達成を優先して手数料率の高い投資信託を大量に勧めて来る支店長がいるかもしれません。もちろん、顧客第一を考えて投資を進めてくる支店長も多いでしょうが、投資にはリスクがありますから、勧められたままに購入した投資信託が値下がりして結果として大損する可能性も当然あるわけです。

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