2024年4月26日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年12月25日

iDeCoは運用益の非課税に加えて、掛け金が所得控除に

 iDeCoは、NISAと同様に配当所得や譲渡所得が非課税となりますが、それに加えて積立額が所得控除になります。つまり、所得税や住民税を計算するときに「所得からiDeCoでの投資額を差し引いた金額」に所得税率や住民税率を乗じるのです。

 特徴は、60歳になるまで引き出せないことです。これは、デメリットのようですが、意志の弱い人が確実に老後資金を貯めるための「政府の親心」だと考えれば、メリットだとも言えるでしょう。

 そこで、所得税や住民税を支払っている人は、60歳まで使わない予定の老後資金はiDeCoで運用するほうが得です。若者にとっては、長期にわたって分配金が非課税ですし、投資信託が長期投資で大きく値上がりしても譲渡所得が非課税になるので、嬉しい制度です。

 50歳代のサラリーマンにとっては、積立額の所得控除が魅力です。日本企業は年功序列賃金ですから、50代のサラリーマンは所得が比較的高いのですが、日本の所得税は累進課税ですから、所得が高い人は税率も高いのです。

 ちなみに、サラリーマンが1円の積立をした時に節約できる税額は、1円×税率です。これが「給与明細の(所得税額プラス住民税額)を(基本給プラス残業代)で割った値」より遥かに高いことには注意が必要です。

 給料から基礎控除等々を差し引いた金額(これを課税所得と呼びます)に税率を乗じて課税額を求めているので、払っている税額は「給料×税率」よりも低いのです。加えて、所得税は累進課税なので、給料が高くなると税率が上がります。「最初の100万円より次の100万円の方が税率が高い」といったことが起きるのです。そこで、「最後の1円の税率」のことを「限界税率」と呼びます。重要なのは、この限界税率なのです。ちなみに、地方税は累進課税ではないので、限界税率は大体10%程度だと考えて良いでしょう。

 iDeCoは、積立できる限度額が人によって異なります。もともと自営業者等に厚生年金がないのを補うものでしたので、自営業者等は限度額が毎年81万6000円ありますが、会社員は14万4000円から27万6000円、といった具合です。

60歳まで引き出さない資金はiDeCo優先で

 NISAとiDeCoは併用できますから、潤沢な投資資金を持っている場合は両方の枠を目一杯使えば良いでしょう。

 普通のサラリーマンは、投資資金が非課税枠より少ないので、NISAとiDeCoのどちらかを選ぶことになると思います。その際、最も重要なのは、iDeCoは60歳まで引き出せないということです。

 自営業者は、一般論として公的年金がサラリーマンより見劣りしていますから、iDeCoの枠も使って老後に備えたいものです。もっとも、業務の内容によっては「あと100万円あれば倒産を免れたのに」といって後悔する可能性がありますから、そこは慎重に考える必要がありますが。


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