前向きに読み解く経済の裏側

2018年12月3日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

レジ袋の有料化は日本にとって望ましい政策

(sunstock/Gettyimages)

 海に流れ込むプラスチックが国際的に問題とされています。そこで政府は、レジ袋の有料化を義務付ける方針のようです 。これは、素晴らしい取り組みだと思います。

 有料にすれば、マイバッグを持参する客が増えて、レジ袋の発行枚数が減り、海に流れ込むプラスチックが減るのみならず、プラスチックの生産量を絞ることが出来て日本の原油輸入量も減らせるかもしれません。

 経済学の理屈っぽい話をすれば、コストがかかっている物を無料で配布すると、経済学が最も望ましいと考える量よりも多くのレジ袋が配布されてしまうことになるので、資源配分の最適化が図れなくなる、といった問題もあるでしょう。

コンビニの社長になったつもりで考えてみた

 プラスチックを作っている業界は反対するでしょうが、それは当然として、筆者が驚いたのは、コンビニ業界がこれまで反対していたということです。2005年には、日本フランチャイズチェーン協会が「コンビニでは来店客に買い物袋の持参を求めるのは困難だ」として反対したらしいのです。これは不思議なことです。

 本件は、「環境を守ろう」という視点から論じる人が多いでしょうが、以下では敢えて、「筆者が環境問題には全く関心を持たず、金儲けのことしか考えていないコンビニの社長だったら」という前提で記します。

 これまで「我が社だけがレジ袋を有料化すれば、ライバルに客を奪われてしまうだろう。それは避けたいから、有料化はできない」と思っていました。しかし、法律で有料化が義務付けられると、ライバルのコンビニも有料化することになるので、我が社が有料化しても客は逃げて行きません。

 レジ袋を有料化すると、一部の客はマイバックを持参するようになりますから、無料で配布するレジ袋の枚数が減り、我が社のコストが減ります。まずは一石一鳥です。一部の客はレジ袋を購入するようになりますから、我が社の収入が増えます。無料で配布していたものが収入を生むわけですから、素晴らしいことです。これで一石二鳥です。

 さらには、「コンビニ業界も環境問題を真剣に考えています」といった顧客へのアピールをすることができ、イメージ戦略としても十分に機能するでしょう。これで一石三鳥です。

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