ちょいとお江戸の読み解き散歩 「ひととき」より

2019年2月26日

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牧野健太郎(読み解き) (まきの けんたろう)

ボストン美術館と共同制作した浮世絵デジタル化プロジェクト(特別協賛/第一興商)の日本側責任者。公益社団法人日本ユネスコ協会連盟評議委員・NHKプロモーション プロデューサー。浅草「アミューズミュージアム」にてお江戸にタイムスリップするような「浮世絵ナイト」が好評。

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近藤俊子(構成/文) (こんどう としこ)

編集者。元婦人画報社にて男性ファッション誌『メンズクラブ』、女性誌『婦人画報』の編集に携わる。現在は、雑誌、単行本、PRリリースなどにおいて、主にライフスタイル、カルチャーの分野に関わる。

[執筆記事]

 世界に知られる日本の絵画といえば、葛飾北斎さんの「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。
この絵は2020年3月をめどに発行される日本のパスポートの査証欄のデザインに使われます。今も昔も多くの逸話が秘められた作品です。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
Photograph © 2019 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved. William S. and John T. Spaulding Collection,1921.21.6765

「百年人生」も見ていた北斎さん

  世界に名高い葛飾北斎さんの「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は天保2年(1831)頃に刊行(①)。北斎さんが71歳頃に描いた46枚シリーズの中の1枚です。そのうちこの絵を含む24枚は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに先立って、2020年3月をめどに日本のパスポートの査証欄に用いられるそうです。日本の伝統文化をアピールし、偽造防止にも役立てるという粋なはからい、更新が楽しみです。

 そういえば6年前、パリのユネスコ本部で、ユネスコ前事務局長イリナ・ボコバさんが言ったのは、「この『GREAT WAVE』(英語での通称)は世界中の大きな美術館が所蔵していて、私も大好きです。世界で2番目に有名な絵ですね」

 「では、1番有名な絵は何ですか」と聞くと、

 「そりゃ~、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』よ」と。さすが北斎さん、ライバルも違います。

 さて、「神奈川沖」は「神奈川」の沖合ではなく、「神奈川宿」の沖です。東海道の日本橋を旅立って、品川宿、川崎宿、そして次がこの神奈川宿。現在の横浜駅や横浜みなとみらい21辺りの沖。東京湾に立った大きな波と、その波越しに見た雪をかぶった富士山(②)を、現在の木更津沖から描いた作品です。

 和船が描かれています。「押送(おしおく)り船(ぶね)」という8人漕ぎの超高速運搬船(③④)。南風が吹いて高波が立つと、市場に品物が運ばれて来ません。その品薄のお江戸の市場をねらって、房総半島などの生鮮食料品を積み、船の舳先を大きな波にぶつけて、頑張っていい仕事をしています。しかも3艘も!

(左)、④(右)

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