オトナの教養 週末の一冊

2019年1月25日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――不良漁民というのがいるんですか?

鈴木:昔から兼業暴力団員というのは多いんです。たとえば、漁業や土建業、タクシー運転手などを正業としながら、副業的に暴力団員にもなっている。そもそも暴力団は商売ではないですから、正業を持っているわけです。

――密漁で獲った魚介類を市場に流通させないと儲けが出ません。どのようにお金に替えるのでしょうか?

鈴木:闇ルートを使い、近隣の寿司屋や料理店へ流せば金には替わりますが、それでは莫大な利益は見込めません。そこで築地などの巨大市場に流すために、大手水産会社の手下になっている業者が、産地の市場で買ったり、浜買いといって漁師から直接買い、販路に乗せるんです。

 表の業者ではないと市場に流通させることはできませんから、そうしたロンダリングを経るのです。

――暴力団が密漁で利益を得ているのは、どのような魚類なのでしょうか?

鈴木:アワビやナマコですね。たとえば、アワビの場合、日本で取引されている約45%が密漁アワビです。暴力団が介在している密漁は、簡単に入手でき、かつ労力が少なく、単価の高いものを獲ります。

――暴力団排除条例が施行されて以降、暴力団との関係を持つこと自体が厳しくなりましたが、その影響はあるのでしょうか?

鈴木:暴排条例自体の影響はあります。たとえば兼業暴力団員は排除される動きがあります。

 築地市場の仲卸で4カ月間、実際に働きましたが、市場にもさまざまな企業に貼られているような暴力団との決別を表記した宣言書が額装され飾られていました。ただ、実際には密漁品の取扱が問題化した際に、密漁対策をしていたというアリバイづくりのようなものでしょう。

――日本には漁業権があり、漁業組合もありますが、密漁に関して厳しい態度で臨んでいるのでしょうか?

鈴木:密漁に関して取材をしたいと被害者であるはずの漁協に申し込んだのですが、被害者が一番「蓋」をしたがったんです。この事実だけでわかると思うんですよ。犯罪被害者が、犯罪を取り上げてほしくない業界は世の中では珍しい。

 漁業権に関しては、日本独特で、日本の漁業のガンだと考えています。ただ、今回はそこに関して書くと「魚とヤクザ」というテーマからそれてしまうので、やむなく割愛しました。

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