2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年2月21日

名誉と名声を求めるトランプ

 昨年6月にシンガポールで開催された1回目の米朝首脳会談で、熱狂的な支持者の間で「トランプ・ノーベル平和賞受賞」の待望論が起こりました。名声と名誉を追い求めるトランプ大統領は、喉から手が出るほど欲しい賞であることは確かです。そこで、安倍総理に依頼したのでしょう。

 しかし、ホワイトハウスの庭、ローズガーデンで2月16日に行った記者会見を見ると、トランプ大統領の話しぶりは、いかにも安倍総理から積極的にアプローチして推薦したかのようでした。

 ちなみに、ある米下院議員に安倍総理のトランプ大統領に対するノーベル平和賞受賞の推薦に関してフィードバックを求めると、一言でメールを返してきました。

 「安倍はおべっか者だ」

 この下院議員はこう見ていました。

 さて記者会見の中で、トランプ大統領はライバル視しているバラク・オバマ前大統領を持ち出し、「彼は15秒でノーベル平和賞をもらった。彼はどうして自分が受賞するのか分からなかった」と皮肉を交えて語りました。

 「自分は北朝鮮との戦争を回避し、オバマ前大統領が成し得なかった偉業をすでに達成したのだから受賞して当然だ」とでも言いたかったのでしょう。これがトランプ大統領の本音です。

 オバマ前大統領が「核なき世界」を掲げ、09年にノーベル平和賞を受賞しているからこそ、トランプ大統領にとって受賞は必須なのです。

 トランプ大統領の安倍総理からのノーベル平和賞受賞の推薦発言は、2回目の米朝首脳会談を占ううえでのヒントになります。率直に言ってしまえば、会談の真の狙いは平和賞受賞を確実にするための成果を出すことになります。

 トランプ大統領は朝鮮戦争の終結宣言と平和宣言の実現が、ノーベル平和賞受賞に値すると計算しているでしょう。マイク・ポンぺオ国務長官とスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表に、2つの宣言の可能性を探るように指示を出しているはずです。


新着記事

»もっと見る