2024年12月8日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年2月21日

 今回のテーマは、「トランプの3つの本音」です。今月27、28両日にベトナムの首都ハノイで、2回目の米朝首脳会談が開催されます。首脳会談を前に、米連邦捜査局(FBI)前長官代行アンドリュー・マッケイブ氏から、ドナルド・トランプ米大統領の北朝鮮核問題に対する認識について、「爆弾発言」が飛び出しました。

(REUTERS/AFLO)

 トランプ大統領本人からも安倍晋三総理からノーベル平和賞受賞の推薦を受けたと、驚きの発言がありました。加えて、トランプ大統領はメキシコとの「国境の壁」建設費を確保するために国家非常事態宣言を発動した際も、注目すべきコメントをしています。

 本稿では、2回目の米朝首脳会談、ノーベル平和賞受賞の推薦及び国家非常事態宣言における「トランプ大統領の本音」を明らかにします。

「非核化を急がない」本当の理由

 マッケイブ前長官代行は米CBS ニュースのインタビューに応じ、米情報機関との会議におけるトランプ大統領の発言を紹介しました。マッケイブ氏によれば、トランプ大統領が「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)で米本土を攻撃できる技術があるとは思わない」「北朝鮮は実際、そのようなミサイルを所有していないとプーチン(露大統領)が私に語ったからだ」と述べたというのです。

 そのうえで北朝鮮の大陸間弾道ミサイルに関して、トランプ大統領は「私は気にしていない。プーチンを信じている」と語り、情報機関の分析を否定しました。マッケイブ氏はこの会議には出席しておらず、FBIの同僚から聞いたとインタビューで答えました。

 しかし、マッケイブ氏のこの発言には一定の信憑性があります。というのは、トランプ大統領はこれまでにも北朝鮮核問題に関する情報機関の分析を退けてきた経緯があるからです。

 以前触れましたが、米情報機関のトップであるダン・コーツ国家情報長官が1月29日、上院情報特別委員会で米国が直面している脅威について証言しました。その際、コーツ長官は「北朝鮮が核兵器と核の生産性を放棄する公算は低い」と証言しています。

 それに対して、北朝鮮の核放棄の可能性を主張してきたトランプ大統領は、「自分が正しい」と強調し、このときも情報機関の分析を否定しているからです。

 仮にマッケイブ前FBI長官代行の発言が真実であるとすれば、トランプ大統領は本音では「米本土脅威論」を信じていないということになります。従って、北朝鮮の非核化に関して「急ぐ必要はない」のです。


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