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2019年3月27日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 

 大統領選挙への立候補を正式に表明したバーニー・サンダース議員(77)が本格的なキャンペーンを開始した。3月23日にはロサンゼルス市議会前の広場で大規模な集会が行われた。

 4年前に若者の間で大旋風を引き起こしたバーニー。しかし予備選でヒラリー・クリントンに敗れ、この4年間は政界ナンバーワンのトランプ批判者として時折登場する以外は大きく取り上げられることはなかった。その批判も声高に吠えてはいるもののなかなか民主党内からの賛同者も現れず、時折「ドンキホーテ」と揶揄される状況だった。

 それだけにバーニーを求める草の根運動がどうなっているのか、興味深くこの集会を見つめてみた。まだキャンペーン初期ということもあり、集会の告知はわずか3日前という状況で、どれだけの人が集まり、熱気を醸し出せるのか。

 まず筆者はダウンタウンに向かうため高速バスを選んだが、バス停で待っていた人々はすべて集会出席者であり、最初から盛り上がった。特にバスで隣り合わせた若者はカリフォルニア工科大学出身、現在インテルで働きこの秋からバークレーの大学院に進学という超エリートだったが、「4年前学生の時からのバーニー支持者。初めての選挙で投票したのもバーニー」と語ってくれた。

 会場近辺には長蛇の列ができ、入場までに1時間近くかかるほどの人が集まっていたことも驚きだった。もっともこれは会場が市議会前の広場で開場が1時、集会開始が2時半というやや短めのスケジュールだったことも原因だろう。コスプレをした人、家族連れでピクニック気分の人など、楽しいお祭りという雰囲気に満ちていた。

 しかし、筆者にとっては4年前に感じた熱気が欠けているようにも思えた。4年前は集会開始前からシュプレヒコールが起こり、誰もが興奮しているように見えたが、今回はむしろリラックスした雰囲気だと感じた。

 最大の理由は4年前バーニーはほぼ無名の政治家で、草の根的にその人気が広がったこと、誰もがバーニーの集会に初参加でその初々しさが集会前の聴衆に溢れていたことだと思う。今やバーニーは高名な政治家であり、その分鮮度を失っている、とも言える。

 同じことがキャンペーンの主張にも感じ取れた。国民すべてに建康保険を、最低賃金の引き上げ、大学の授業料無償化、などバーニーの主張は良く言えばこの4年間ブレておらず、悪く言えば新機軸がない。唯一新しい主張は「大麻自由化」だろうか。

 外交についての政策も語られず、外交音痴として知られるトランプ大統領がこの3年で中国との貿易摩擦、地球温暖化防止条約からの離脱、核兵器制限の破棄、北朝鮮問題などで引っ掻き回した国際関係をどう修復していくのかというプランが見られない。もちろん軍事費増額を認めずその分を福祉教育に回す、という主張はあったが、現在の国際情勢の中で米国が軍事費を削減するのも困難な状況だ。

 

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