Washington Files

2019年6月3日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 令和新時代の最初の国賓として来日したトランプ大統領夫妻は、新天皇との初会見、大相撲観戦、海上自衛隊護衛艦乗艦など日本中に大きな話題をふりまき、28日、帰国の途に就いた。だが、米メディアによると、大統領は東京滞在中、次期大統領選のライバル候補をツイッターで何度も酷評するなど内政に気を取られ、終始「心ここにあらず」の状態だったという。

 安倍首相は大統領夫妻が来日した25日午後以来、離日まで通常の公務を離れほとんどつきっきりで行動をともにし、最大限のもてなしに腐心した。首脳会談後の共同記者会見でも「日米のきずなは不動のもの」とその意義を強調した。

 しかし、米側メディアの反応は、大々的な日本側の報道ぶりとは対照的にきわめて冷静で、むしろ今回の大統領訪日を厳しい目でとらえていた。

 具体的にアメリカ主要メディアのホワイトハウス同行記者たちがどう報道したかを振り返ってみる。(以下要約)

相撲を観戦するトランプ大統領( REUTERS/AFLO)

CNN

 「今週のトランプ訪日では、両国を隔てた太平洋も世界最古の皇室伝統行事も、大統領をしてワシントンの政争から関心をそらすことはできなかった。13時間も時差のある異国に滞在し、安倍首相がぎっしり詰まったスケジュールを用意したにもかかわらず、次期大統領選で最強のライバル視するバイデン前副大統領や内政のごたごたが終始気がかりだったようだ」

 「宿泊先の都内のホテルで深夜まで矢継ぎ早にツイート発信したが、テーマは株式市場、米下院による大統領弾劾の動きからインディアナポリス500カーレースまでさまざまだった。あるツイートでは自分が、(バイデンら)民主党が日本との関係で何を考えているかについて安倍首相らと協議したことを示唆したが、日本側はこれを確認していない。もっとも日本政府関係者はバイデンについては、副大統領として、それ以前には上院外交委員長として来日した当時から、トランプ以上によく知っている関係にある」

 「米国大統領としての権威を示す機会がなかったわけではない。皇居訪問では儀仗礼の歓迎を受け、横須賀では海上自衛隊護衛艦に乗船、日米兵士を激励したほか、国技館ではこれまでアメリカの政治家でも許されなかった神聖な土俵にまで上がり、自分が購入したという70ポンドもある巨大な銀杯を優勝力士に贈呈した……しかし、これらはすべて指導者がこだわる政治的演出を背景にしたものだ」

 「これまでトランプ大統領の訪問を受けてきた各国政府関係者たちは、お世辞たっぷりの周到な準備をしたにもかかわらず、ツイート発信で台無しにされてしまうことを覚悟してきた。それが今週、現実のものとなった。26日早朝、北朝鮮が最近発射した短距離ミサイルが国連制裁決議違反であるにもかかわらず、『発射実験は自分にとっては問題ではない』との自説を展開し、問題視する安倍首相との見解の違いを露呈させた」(5月28日、ケビン・リプタック記者)

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