中国の最重要課題「農と食」を読み解く

2019年8月12日

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山口亮子 (やまぐち・りょうこ)

ジャーナリスト

2010年京都大学文学部卒業、2013年北京大学歴史学系大学院修了、時事通信社を経て16年よりフリージャーナリストとして活動。

大型ハウスの収益の低さに変化も

中国北部でよく見られる日光温室(新疆ウイグル自治区、筆者撮影)

 山口さんが日中に共通する点として挙げるのが、大型ハウスの収益の低さだ。初期投資が高額なため、よほど反収を上げなければ投資を回収できない。

 「大型の温室は50%以上が赤字だと言われている」

 この大型ハウスに中国で変化がみられるようになった。

 「かつては官主導で展示用のハウスを作ることが多かった。その場合、儲かるかどうかよりも作ることが大事だった。それがここ3、4年で急激に変わり、やっと儲かるようになってきたと感じる」

 大型ハウスは農業の現代化のシンボルであるために、建設と研究開発は避けて通れなかったと言える。もともと収益性を度外視して始まったけれども、ここに来て黒字化する経営も出てきた。官営の農場だけでなく、民営の農場も出現しているのは、儲かるようになってきたことを反映している。

 反収は、園芸で最先端を行くオランダに比べると低い。大玉トマトの生産量(10アール当たり、以下同じ)はオランダが65トンとされる。それに対し、北京の大型温室の生産量は、成功しているところで40トン程度だ。とはいえ、2012年の生産量は20トン程度だったので、長足の進歩と言える。ちなみに日本では同年、千葉大学の植物工場コンソーシアムのトマトのハウスで、国内初の50トン超えとなる51トンの高収量を達成した。

 日本の大玉トマトの10アール当たりの生産量は10.1トンで、生産性は長年横ばいのままだ。大型ハウスに限らないので、単純な比較はできない。ただ、オランダに大きく水をあけられているのは中国と同じだ。日本の施設園芸の農家数は減り、かつ一戸当たりの施設面積が約20アールと横ばいのため、面積は減少の一途だ。

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