世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

尖閣国有化を民間に戻せば中国の対応は変わるのか
中国の海洋進出戦略

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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 習の政治局演説は特別な注意を払うに値する。彼を単なるナショナリスト強硬派扱いをすべきではない。中国のこれらの紛争への対応はもっと微妙である、と論じています。

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 確かに、習近平が最近の政治局会議で鄧小平指示を再確認した意義は、フラベルが言うように注目に値します。

 しかし、尖閣諸島周辺での中国公船の活動には、今のところ変化はありません。冷戦時代、対ソ連政策の立案では、「ソ連の発言より実際の行動により多くの注意を払うべし」とよく言われましたが、今の中国に関しても、同じことが当てはまるでしょう。

 フラベルの分析から我々が引き出すべき教訓は、今後中国の対応が穏健化するだろうとの見通しで対応を緩めるべきである、ということではなく、尖閣についての安保条約適用につき日米協調が強固なことが中国の対応の変化につながっている可能性があることを認識し、さらに日米協調を強化し、日本の尖閣防衛の意思も明確にしていくべきである、ということでしょう。

 尖閣については、棚上げが良いとの論もありますが、棚上げ論は、領土問題の存在を認めることを前提にしている点に大きな問題があります。中国側が一方的に棚上げするのであれば、わが方から異論を唱えるまでもありません。

 日本による尖閣国有化が中国の今の行動の契機になっていることは間違いありません。しかし、中国は民間所有に戻せば今の対応を変えるのでしょうか。もしそうならば、島の所有権を民間に移すのも一案でしょうが、そういう問題ではなく、中国が尖閣や南シナ海に対する領有権主張を強め、強硬な行動に出るのは、中国の基本的な国家戦略です。論説が指摘している習近平の二つの発言は、その枠内での調整に過ぎないと見るべきです。

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