2024年5月2日(木)

Wedge REPORT

2024年4月19日

 円安の進行に終わりが見えない。これは、日経平均株価の上昇や企業の収益構造の転換、外国との物価の違いなど、日本経済へさまざまな影響を及ぼす。

 円高への転換が見えない現状をどう捉え、どう対応していけばよいか――。円安ショックや国内経済に関する人気記事を集めました。

 2024年に読んでおくべき10本を編集部が厳選してお届けします。

<目次>

1:「ラーメン一杯2800円」より建設的な議論を 円安と米国物価高の安易な報道は即刻止めるべき(2022年9月22日)

2:【見かけの経常黒字は実務上の経常赤字】終わらぬ円安、立ちすくむ日本 今こそ必要なこの国の〝決断〟(2023年9月25日)

3:【生産性の低いゾンビ企業が多い?】経済成長を妨げている原因は日本企業の“儲けない”体質なのか(2023年11月24日)

4:【2024年のCF経常収支は?】貿易赤字国として迎える米利下げは果たして円高をもたらすのか(2024年1月1日)

5:【日本株上昇をけん引しているのは誰?】新NISAの影響と「家計の円売り」は一方通行という怖さ(2024年1月22日)

6:庶民には実感なき<日経平均株価最高値>平成の悪夢は再来するのか?バブルに飲み込まれないようにするために必要なこと(2024年2月24日)

7:【脱・人口減決定論】人手不足は少子高齢化のせいではない 真犯人はいったい誰なのか?(2024年2月28日)

8:1万8000円の海鮮丼が外国人観光客に人気な理由 変わる世界との〝お財布事情〟日本のサービスと賃金が変わる「きっかけ」を(2024年3月13日)

9:日銀利上げでもなぜ「円安」のままなのか?アメリカ人は日本の「異次元緩和」終了をどう見ているのか?(2024年3月22日)

10:【バブルの悪夢再来か?】東京都心の中古マンション1億円突破へ、日銀マイナス金利解除のメディアの報じ方を読む(2024年3月25日)

1:「ラーメン一杯2800円」より建設的な議論を 円安と米国物価高の安易な報道は即刻止めるべき(2022年9月22日)

(AP/アフロ)

 円安が進行する中で、日本では米国の物価高に関する報道がやたらに目立っている。最初は、ニューヨークで「大戸屋の定食が3000円」というような見出しでビューを稼ぐものから、米国では「ラーメン一杯2800円」などという「ラーメン指数」報道が相次いだ。

 確かに米国で大ブームになっているラーメンは、平均すると一杯15ドルはする。そこにチップ3ドルと、消費税が上乗せされれば20ドルとなり、円に換算すれば簡単に2800円を超えてしまう。事実としては間違っていない。

 中でも大きく取り上げられたのが、7月以降便数の回復したハワイでの日本人旅行者の「体験談」だ。ホテル宿泊や飲食に1日22万円かかったとか、家族4人の旅費トータルが250万円という内容だ。これはネットで話題になったために、地上波の情報番組などでも類似の内容が「これでもか」と報じられた――。

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円安と米国物価高を「ラーメン一杯2800円」で語るな

2:【見かけの経常黒字は実務上の経常赤字】終わらぬ円安、立ちすくむ日本 今こそ必要なこの国の〝決断〟(2023年9月25日)

(PASHALGNATOV/GETTYIMAGES)

 円安が終わらない。2023年上半期(1~6月)を振り返れば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ幅縮小、停止、利下げ観測の台頭に加え、日銀が実質的にイールドカーブ・コントロール(YCC)を解消するなど、内外金利環境は22年に比べれば明らかに円高を支持したが、円安相場は終息しなかった。これは金利ばかり見て相場を語る旧来的なアプローチの敗北に思える。

 確かに、従来は日米金利差(端的には米金利)を追うことでドル円相場の軌道は一定程度読むことができたが昨年来、筆者はそうした時代はある程度終わった可能性があるとの立場を貫いてきた。年末年始時点で円安予想だったのは筆者を含め、極めて限られた市場参加者であったと記憶する――。

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終わらぬ円安、立ちすくむ日本 今こそ必要なこの国の〝決断〟

3:【生産性の低いゾンビ企業が多い?】経済成長を妨げている原因は日本企業の“儲けない”体質なのか(2023年11月24日)

(gorodenkoff/gettyimages)

 低金利が、生産性の低いゾンビ企業を存続させ、結果、生産性も給料も上がらないという議論がある。しかし、このようなゾンビ企業論については、2つの誤りがある。

 第1は、ゾンビ企業、すなわち生産性の低い企業であり、生産性の低い企業を退出させれば残りは生産性の高い企業になるから、平均でも生産性が上がるという考え方である。確かに、効率の低い企業が退出すれば、残った企業は効率の高い企業なので、経済の効率は平均として高くなるかもしれない。しかし、効率の低い企業が退出して失業が増えたら国民にとっての経済の効率は低下する。

 働いていない人の生産性はゼロだから、働いている人の生産性が上がっても、すべての日本人の平均の生産性は上がらない――。

【続きはこちら】
実はゾンビ企業少ない日本 何が成長を妨げているか?

4:【2024年のCF経常収支は?】貿易赤字国として迎える米利下げは果たして円高をもたらすのか(2024年1月1日)

(Ca-ssis/gettyimages)

 筆者は2022年以降、日本経済が直面している需給構造の変化などを念頭に「23年は円高の年という見方には賛同できない」という主張を重ねてきた。この点は本コラム「唐鎌大輔の経済情勢を読む視点」の読者の方々はご理解頂いていることかと思う。

 幸い23年は一連の議論が報われたように感じている。23年も終わろうという時に、24年のドル/円相場見通しについて照会を受けることが増えている。識者によってどのようなポイントを重視するか異なるだろうが、およそ金利という観点に照らせば、ほとんどの市場参加者は24年に関し「米連邦準備理事会(FRB)は利下げ、日銀は利上げが注目される年」という読み筋を主軸としており、日米金利差縮小を当て込んだ円高見通しが支配的だろう――。

【続きはこちら】
2024年は「過度な円安」が「穏当な円安」になる年

5:【日本株上昇をけん引しているのは誰?】新NISAの影響と「家計の円売り」は一方通行という怖さ(2024年1月22日)

(つのだよしお/アフロ)

 筆者は「家計の円売り」こそ円相場、ひいては日本経済にとって最大のリスクではないかと考えてきた。昨年11月には本コラムへの寄稿『経常収支黒字でも進む円売り 資産運用立国で加速するか』でも取り扱った経緯がある。周知の通り、年初から盛り上がりを見せる円安・株高の背景として新たな少額投資非課税制度(以下、新NISA)の稼働を契機として変化する家計の運用行動があるとの論調が目立っている。

 実際のところ、こうした議論は正しいのか。現在入手可能な情報から判断する限り、新NISAによる家計行動の変化は円安には直接的な影響がある一方、日本株上昇には間接的な影響があると言えそうである。以下で簡単に現状を把握してみたい――。

【続きはこちら】
株高をけん引しているのは一体誰?新NISAの影響と「家計の円売り」は一方通行という怖さ

6:庶民には実感なき<日経平均株価最高値>平成の悪夢は再来するのか?バブルに飲み込まれないようにするために必要なこと(2024年2月24日)

(長田洋平/アフロスポーツ)

 日経平均株価が22日、終値が3万9098円を付けて34年ぶりに最高価格を更新した。バブル絶頂期の1989年12月29日の大納会の3万8915円を付けたあと、年明けの取引開始から暴落に転じた日本の株価が失われた30年を取り戻しかにみえる。

 年明けからの急速な株価の上昇の理由として、メディアは新しい少額投資非課税制度(NISA)の導入や日本企業の業績回復とドル建てでみて割安感が出たために外国からの買い入れが膨らんだことなどを挙げている。前回のバブルとは異なるというものである。果たしてバブルの崩壊の悪夢は再来しないのだろうか――。

【続きはこちら】
庶民には実感なき<日経平均株価最高値>平成の悪夢は再来するのか?バブルに飲み込まれないようにするために必要なこと

7:【脱・人口減決定論】人手不足は少子高齢化のせいではない 真犯人はいったい誰なのか?(2024年2月28日)

(Dumitru Ochievschi/tokoro/gettyimages)

 人口減がデフレをもたらし、人手不足をもたらしているという人口減決定論はあらゆるところで強い力を持っているようだ。ただ、最近の日本経済新聞は、「「人口が減ればモノやサービスの需要が落ち、デフレになる」が通説なのだが、このところ人手不足による賃上げが要因の値上げが起きている」と述べている(「「人口減デフレ」の通説覆す」日本経済新聞2024年2月12日)。

 しかしそれでも、人口減が雇用状況やデフレを説明するという人口減決定論は根強いものがある。うち、人口減と雇用状況を結び付ける議論に対して考えたい。ただし、人口減決定論と言っては単純化しすぎで、人口減に伴う高齢化という人口構成変化とそれによる社会構造の変化が雇用情勢の変化をもたらしているというべきかもしれない。まず、簡単なものから議論したい――。

【続きはこちら】
【脱・人口減決定論】人手不足は少子高齢化のせいではない 真犯人はいったい誰なのか?

8:1万8000円の海鮮丼が外国人観光客に人気な理由 変わる世界との〝お財布事情〟日本のサービスと賃金が変わる「きっかけ」を(2024年3月13日)

(gunnerl/gettyimages)

 「値決めは経営である」という京セラの創業者でJALの再生を指揮した稲盛和夫氏の有名な言葉がある。バブル経済崩壊以降長らくデフレが続いた日本で、主にインバウンド顧客を対象に高額な製品・サービスが売れている。

 例えば、東京・豊洲に2月に開業した大型商業施設、「豊洲 千客万来」のフードコートにある海鮮料理「江戸辻屋」では江戸辻屋の本マグロ丼6980円で主にインバウンド客に好評だという。同じ「豊洲 千客万来」3階の築地うに虎の「皇帝」という海鮮丼は1万8000円も話題になっている。

 残念ながら筆者は「豊洲 千客万来」にはまだ訪問していないのだが、2024年2月のアムステルダム(オランダ)、ジュネーブ(スイス)、ロンドン(英国)、バルセロナ(スペイン)への出張とも比較しながら、日本の価格設定について考えてみたい――。

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1万8000円の海鮮丼が外国人観光客に人気な理由 変わる世界との〝お財布事情〟日本のサービスと賃金が変わる「きっかけ」を

9:日銀利上げでもなぜ「円安」のままなのか?アメリカ人は日本の「異次元緩和」終了をどう見ているのか?(2024年3月22日)

(ロイター/アフロ)

 日本銀行は、3月19日に金融政策決定会合を開催し、その結果を公表するとともに、植田和男総裁が会見を行って、緩和政策の終了を宣言した。黒田東彦前総裁が2013年に実施し、その後もずっと継続していた「異次元緩和」政策は、ここに終了した。

 このニュース、米国での扱いは限定的だ。まず、あまりにも専門的すぎて、一般ニュースにはなじまないので、扱っているのは基本的に経済ニュースが中心だ。

 その報道内容だが、現時点ではあまり鋭い論評というのは見られない。まず、17年にわたって利上げがされなかったという歴史、そしてこの間のデフレ経済の問題などが回顧的に説明されるだけ、という記事が多い――。

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日銀利上げでもなぜ「円安」のままなのか?アメリカ人は日本の「異次元緩和」終了をどう見ているのか?

10:【バブルの悪夢再来か?】東京都心の中古マンション1億円突破へ、日銀マイナス金利解除のメディアの報じ方を読む(2024年3月25日)

(Kawisara Kaewprasert/gettyimages)

 日本銀行が3月19日の金融政策決定会合において、異次元の金融緩和の柱であるマイナス金利政策の解除を決めた。17年ぶりの利上げとなる。日経平均株価は22日に一時4万1000円を超えて史上最高を記録した一方で、円安ドル高は進んだ。

ドイツの宰相であるオットー・ビスマルクの言葉である「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」は、さまざまな局面で引用される。日銀は2000年と06年にも利上げに踏み切ったが、前者はITバブルの崩壊によって、後者はリーマンショックによって再び利下げに追い込まれた。

 アベノミクスと呼ばれた財政の出動と大規模な金融政策、そして新たな産業の育成とともに17年もの長期にわたって続けられた異次元の金融緩和について、検証されなければならない――。

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【バブルの悪夢再来か?】東京都心の中古マンション1億円突破へ、日銀マイナス金利解除のメディアの報じ方を読む

   
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