2022年10月6日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年9月22日

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冷泉彰彦 (れいぜい・あきひこ)

作家・ジャーナリスト

ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。近著に『「反米」日本の正体』(文春新書)など。メールマガジンJMM、Newsweek日本版公式ブログ連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

 円安が進行する中で、日本では米国の物価高に関する報道がやたらに目立っている。最初は、ニューヨークで「大戸屋の定食が3000円」というような見出しでビューを稼ぐものから、米国では「ラーメン一杯2800円」などという「ラーメン指数」報道が相次いだ。

米国の飲食店の料金は円安で高く見えるが、値段ばかりに目を向けていては本質を見失う(AP/アフロ)

 確かに米国で大ブームになっているラーメンは、平均すると一杯15ドルはする。そこにチップ3ドルと、消費税が上乗せされれば20ドルとなり、円に換算すれば簡単に2800円を超えてしまう。事実としては間違っていない。

 中でも大きく取り上げられたのが、7月以降便数の回復したハワイでの日本人旅行者の「体験談」だ。ホテル宿泊や飲食に1日22万円かかったとか、家族4人の旅費トータルが250万円という内容だ。これはネットで話題になったために、地上波の情報番組などでも類似の内容が「これでもか」と報じられた。

 その頃から、とにかく「米国の物価高」や、「米国での日本人旅行者の苦労話」というのが、話題になるからというだけで、ネットやTVでどんどん増殖している。実に困った問題だ。勿論、事実は事実であり、日本におけるデフレ経済や、低賃金の問題などを考える機会にはなるだろう。

 だが、この種の報道がここまで溢れるというのは問題だ。いや極めて深刻な問題と言ってもいいだろう。2点考えてみたい。

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