2022年10月7日(金)

唐鎌大輔の経済情勢を読む視点

2022年8月25日

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唐鎌大輔 (からかま・だいすけ)

みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

2004年慶應義塾大学卒業後、日本貿易振興機構(JETRO)入構。日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局を経て、08年10月からみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)。著書に『ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで』(2017年、東洋経済新報社)など。(記事はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

 内閣府より8月15日に公表された2022年4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率+2.2%と市場予想の中心(前期比年率+2.5%)を若干下回った。個人消費が想定ほど伸びなかったこともあるが、在庫投資の寄与度が▲0.4%ポイントと大きかったことが響いている。供給制約の厳しさから在庫取り崩しの動きが予想以上に進んだ。

日本経済は個人消費が戻りつつあるものの、いまだ「コロナ前」とはなっていない(つのだよしお/アフロ)

 今回の結果を受けて一部報道(「GDP、コロナ前に回復4~6月、個人消費持ち直し」)では、大々的に日本でもGDP水準が「コロナ前」を回復したことが取りざたされている。しかし、この解釈は相当にミスリーディングである。

 「コロナ前」の目安として多用される19年10~12月期は、消費増税および台風19号の影響によって前期比年率▲14.3%(前期比▲2.80%)と大崩れした時期だ。実質GDPの水準に関し、22年4~6月期を19年7~9月期と比較すると▲2.7%、2019年1~3月期から7~9月期までの3四半期平均と比較すると▲2.6%、2019年暦年と比較しても▲1.9%と、依然としてその差はかなり残っていることが分かる。

 仮に19年7~9月期を基準とした場合、日本は下回っている。主要国・地域を見渡しても、〝コロナ前〟を下回っているケースは日本だけとなっており、この特異性こそ今見るべき点だろう(図表①)。

筆者作成、以下同 写真を拡大

 いずれにせよ19年10~12月期を「コロナ前」として定義し、正常化を強調するのは比較数字によるマジックであり、額面通りの受け入れてはいけない。

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