2022年9月26日(月)

#財政危機と闘います

2022年8月15日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 今月上旬、米国のスタンフォード周辺に滞在する機会を得た。スタンフォードの街中ではマスクを着けていない人の方が多く、昼夜も問わず楽しそうに友人や家族たちと食べ語らいあうなど、完全に日常生活を取り戻しているのが印象的であった。

 夏休み期間ということもあってか、米国内の観光客も多く、欧州などからの観光客も多く見かけた。ただし、日本人や中国人の観光客はほとんど見かける機会がなかった。

 また、テレビのニュース番組では新型コロナはもちろん、サル痘のニュースも目にすることはなかったし、日本で使われている妙な仕切り板もなかった。日本のテレビではサル痘が米国の重大関心事項であるかのような過剰な報道もあったので内心冷や冷やしていたが、実にあっさりとしていた。

世界がウィズコロナへの転換を進める中、日本では感染対策による制約がいまだ多く残っている(YUTAKA/アフロスポーツ)

 2020年1月に中国の武漢から発生した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に伝染した。2月29日、シアトル近郊の病院に入院していた50代の男性が全米で初めてのコロナウイルスによる死者として報じられて以降、死者の数は急増し、遺体が霊安室に収容できない悲惨な状況が日本でも盛んに報じられた。また、3月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症のパンデミックを中国の顔色を気にしながら渋々宣言するなど、日本人の新型コロナウイルスへの恐怖心が掻き立てられた。

 それから2年以上が経過し、米国をはじめとした各国では新型コロナウイルスとの共存(ウィズコロナ)に向けて舵を切り、さまざまな規制緩和が実施され経済も人々の動きも活況を呈する中、相変わらず中国はゼロコロナを堅持し、世界経済に大きな負の影響を与えているのは周知の通りだ。日本が目指してるのはウィズコロナなのか、ゼロコロナなのか、あいまいなままだ。

 今回は、米国滞在で改めて実感した日本の新型コロナ対策が日本の社会や経済に与えた影響について考えてみることとしたい。

新型コロナ「最汚染国」ニッポン

 日本では、早くからコロナ対策が徹底され、またワクチン接種率も高いにも関わらず、7月28日、日本の新型コロナウイルス感染症新規罹患者は23万3094人を数え、過去最悪の記録となると同時に、世界最悪の新型コロナ「汚染国」となり、現在に至っている。なお、人口比で見ると、韓国が日本を上回って世界最悪の水準になっている。

 厚生労働省「人口動態統計」によれば、21年の死因別に見た死亡は、第1位は悪性新生物<腫瘍>38万1497人(死亡率(人口10万対)は310.7)、第2位は心疾患(高血圧性を除く)21万4623人(同174.8)、第3位は老衰15万2024人(同123.8)、第4位は脳血管疾患10万4588人(同85.2)、第5位は肺炎7万3190人(同59.6)となっている。

 「新型コロナウイルス感染症」は死亡者数が1万6756人(同13.6)であり、21年の死亡者総数143万9809人の1.16%を占めるに過ぎない。新型コロナを特別視する理由があるとは到底思えない。

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