2022年12月10日(土)

ビジネスと法律と経済成長と

2022年5月30日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

 都内を中心に飲食チェーンを展開しているグローバルダイニング社が東京都に対して、新型コロナウイルスによる営業時間短縮の命令が違法であるとして損害賠償を求めた訴訟について、2022年5月16日、都の対応に違法があると判断する判決が出された。

(doble-d/gettyimages)

 東京都は、新型コロナによる緊急事態宣言下で飲食店に営業時間短縮を「要請」していたところ、グローバル社はこれに応じることなく、むしろ緊急事態宣言下でも平常通り営業することをウェブサイト上で宣言していた。

 これに対して東京都は、緊急事態宣言が解除される4日前になって、同社を含む6社に新型インフルエンザ等対策特別措置法(「特措法」)に基づく営業時間短縮の「命令」を発した。グローバル社はこの「命令」が違法であったとして訴訟を提起したものだ。

 グローバル社は都の「命令」が違法であると主張するにあたり、憲法違反の問題を含めていくつかの理由を挙げていた。そのひとつに、都による「命令」が出されたのが緊急事態宣言解除直前であることから、時短営業の要請に応じないことを宣言していた同社を狙い撃ち・見せしめにしたという主張が含まれる。

 判決は、結論として都の損害賠償責任は否定したが、他方でグローバル社に対する「命令」には違法があったと判断した。

営業時間短縮の「命令」は適切だったのか

 特措法は、新型コロナや新型インフルエンザなど法律で定める感染症が、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼしていると判断される場合に、緊急事態宣言を発出して感染拡大防止に向けた措置を講じることを定めている。

 緊急事態宣言の対象となった都道府県の知事は、感染拡大防止のため、不特定多数が利用する一定の施設に対し、期間を定めて、使用制限等の措置を講ずるよう「要請」することができる。今回、都が飲食店に要請した営業時間短縮の要請は、この規定に基づいてなされたものだ。この段階の「要請」は、あくまでも要請であり、応じない場合であっても罰則等の適用はない。

 もっとも要請の対象となった飲食店等が「正当な理由がなく」要請に応じない場合には、都道府県知事は感染拡大防止等のため「特に必要があると認めるときに限り」、要請に応じることを命令することができる。この「命令」には強制力があり、従わない場合には罰則が課される。

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