唐鎌大輔の経済情勢を読む視点
国内政治や国際情勢、さまざまな要因で変化を続ける経済情勢。表出される数字や指標をどう見て、どう動けばいいのか。読み解く視点を新進気鋭のエコノミストが提示する。

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2023/11/16 唐鎌大輔
23年度上期の国際収支統計で、経常収支が過去最大の黒字であることが取りざたされ、「円高へ戻る」という声もあるが、キャッシュフローベースでは赤字で、円が流出しているといえる。この状況は政府が掲げる「資産運用立国」で加速する可能性もある。
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2023/09/28 唐鎌大輔
執拗な円安が続いている。主要通貨の対ドル変化率を見ると、下落幅が大きい通貨はアルゼンチンペソ、トルコリラ、ロシアルーブルだけ。日米の金利差によるところも大きいが、そもそも円を支える基盤が脆くなっている可能性を真摯に考えたいところである。
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突破口として期待される知財優遇税制
2023/07/18 唐鎌大輔今回の「骨太の方針」で対内直接投資促進の期限と水準の目標が設定されたことは、円安地合いが定着している状況から注目される論点だ。日本の対内直接投資を取り巻く環境を改めて整理し、その展望に触れてみたい。
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2023/06/14 唐鎌大輔
「骨太の方針」の原案で、「2000兆円の家計金融資産を開放し、持続的成長に貢献する『資産運用立国』を実現することが掲げられた。しかし、ここには功罪があることを慎重に吟味する必要がある。為替と金利の2つの懸念がある。
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2023/05/12 唐鎌大輔
財務省から公表された3月経常収支は2カ月連続で+2兆円の大台を超える黒字となった。インバウンドを中心とする旅行収支が押し上げた形で、ポジティブなニュースではあるが、少しずつネガティブな側面を感じつつある向きもあるのではないか。
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2023/04/13 唐鎌大輔
米国の利上げ停止や利下げを念頭にドル安・円高が予想されるが、その可能性は高くないように感じる。国際収支統計が示唆する日本円ひいては日本経済の直面している構造変化の可能性をもう少し丁寧に見ることが、結果的に円相場見通しに役立つだろう。
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ドイツの強みから日本が学ぶべきこと
2023/02/08 唐鎌大輔「日本のGDP、今年にもドイツに抜かれ4位転落の恐れ」との記事が話題になっている。円安の影響もあるが、ドイツ特有の強さも両国の差を詰める一因にはなったと思われる。多くの日本人が思うほどドイツは日本と似ていない。
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2023/01/01 唐鎌大輔
2022年はドル/円相場は年間値幅(最高値-最安値)は、プラザ合意以降で5番目に大きかった。円安に振れた年としては最大で、間違いなく為替市場の歴史に刻まれる年になるだろう。こうした歴史的な年を経た23年はどのようなイメージを持つべきか。
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2022/12/23 唐鎌大輔
2022年は、円安見通しは元より「円安を活かす手はないのか」といった議論の機会に恵まれた。その中で、先細る国内需要を念頭に置く国内企業ではなく、国際的に競争力ある外資系企業による国内投資は生産・所得・消費の好循環を持続的に支える期待がある。
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2022/12/14 唐鎌大輔
金融市場の世界では資源高も円安・ドル高もピークアウトしたという説が流布されているものの、家計部門の世界の実感は違う。こうした齟齬は名目ベースと実質ベースの議論に分けて考えると状況把握が進みやすいかもしれない。
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2022/11/28 唐鎌大輔
年初来で進んできた円安が日本経済にもたらす影響はこれからの話であり、円安の意味を考察する意義は当面大きい。最近ではやはり日本国内における物価上昇が円安の負の側面を考える良い契機になるだろう。
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2022/10/26 唐鎌大輔
ドル/円相場は政府・日銀の為替介入と思しき動きを挟んで乱高下している。「安い日本」の状況を活かして国内への生産回帰が貿易赤字を縮小し、円売り圧力が和らぐという展開も描く報道も散見されるが、日本経済全体の話なのか確信は持てない。
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2022/10/07 唐鎌大輔
10月11日から始まる水際対策の緩和を受けて、いよいよ外国人の個人旅行やビザなしの来日が再開する。「規制を外したから、2019年以前に戻る」という期待もあるが、単純な話ではなさそうだ。少なくとも3つある不安材料を検討してみよう。
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金融教育の先にあるもの
2022/09/14 唐鎌大輔個人の外貨定期預金口座開設が活況を呈していると報じられている。新型コロナ禍での円の価値劣化は著しく、「安い日本」を裏付ける事実も枚挙に暇がなくなっており、こうした世の雰囲気が外貨への投資意欲を焚き付けているのは間違いないだろう。
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2022/08/25 唐鎌大輔
内閣府より公表された2022年4~6月期のGDP成長率は前期比年率+2.2%と市場予想の中心(前期比年率+2.5%)を若干下回った。今回の結果を受けて一部報道では、日本でもGDP水準が「コロナ前」を回復したとされているが、相当にミスリーデ…
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