7月に入り、日経平均株価指数が連日史上最高値を更新している。バブル超えを達成し、史上初の4万円台到達などに沸いた2月末から3月初旬とは異なり、今回はプライム市場を中心とした上場企業の全体的な値動きを反映するTOPIX(東証株価指数)も1989年12月以来、約34年半ぶりに史上最高値を塗り替えており、「正真正銘のバブル超え」というフレーズがそこかしこに見られている。
日本株の上昇に関し、2月末の本コラム「唐鎌大輔の経済情勢を読む視点」への寄稿では「【日経平均株価】34年ぶり更新をどう読めばいいか知りたい人へ 日本のGDPが不調でも最高値更新した理由」と題し、筆者なりの見解を示した。詳しくは同記事をご参照頂きたいが、当時の筆者は日本における株高は実体経済を前向きに評価した結果というよりも、むしろデフレからインフレへの切り替わりに伴って起きている必然の帰結であり、ややもすれば、制御不能の通貨安と高インフレに悩んでいる新興国の症状を彷彿とさせると論じた。
もちろん、日本を新興国と形容するのは性急だが、先進国と新興国の間に位置する「中進国」という国グループに転落しかけている容疑などは完全には否めない。こうした基本認識は今も不変である。