7月20日に投開票となる参議院選挙を前に様々な世論調査が出始めている。注目点は言うまでもなく、「自民・公明の連立与党が非改選議席と合わせて過半数(50)の議席を確保できるかどうか」に集中する。この点、「過半数確保は難しい」との報道も多く、6月の都議会議員選挙で歴史的大敗を喫した経緯を踏まえれば、その観測に違和感は小さい。衆院に続いて参院でも与党過半数割れとなると、政権交代の可能性すら頭を過ぎる事態である。
より具体的な想定をすれば、与党が過半数割れとなり、石破茂政権が総辞職に至り、その上で野党連携の上で(野党のいずれかから)首班指名を行うことができれば政権交代が実現するものの、今の野党を見渡す限りそこまでの団結にはなるまい。そうなると少数連立与党となった自公はいずれかの野党を連立政権に取り込む流れになるが、現実的には立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3択である。
どの選択肢になるのかは石破首相を筆頭とする自民党執行部が敗戦の責任をどういった形で処理するのかに依存するはずで、全く予想がつかない(例えば石破首相と玉木・国民民主党党首は非常に折り合いが悪いと目され、総辞職がなければ国民民主党との連携は考えにくい、など)。この辺りは政局に詳しい専門家の議論に委ねたい。
拡張財政の足音
問題は金融市場への影響である。周知の通り、争点となる物価高対策について与党以外は消費税減税に前向きであり、給付についても積極姿勢を隠さない政党は多い(図表①)。
つまり自公過半数割れに至った場合、程度の差こそあれ、拡張財政路線の強まりが不可避の情勢ということでもあり、この展開を見越して円金利上昇や円安の動きが活発化しているとの解説も多い。実際、象徴的には日本国債に対する格付け会社の判断にも影響する可能性があり、それは金融市場動向にも直結しかねないはずだ。

