2025年12月5日(金)

唐鎌大輔の経済情勢を読む視点

2025年7月15日

 ご多分に漏れず、そうした政党は減税を声高に主張していることがほとんどであり、例えば参政党は消費税の段階的廃止を求めている。衆院に議席を持たない以上、参政党が次期政権に関与できるほどの影響力は持たないと考えるものの、それ以外の野党であっても財政・金融政策でインフレの痛みを和らげよと主張する政党ばかりである。

新興政党の伸長による経済的な懸念

 既に欧州では次々と伝統政党が新興政党に追撃され、少数与党がなんとか政権樹立に漕ぎつけるという有様が珍しくなくなっている。ドイツですら極右政党の力がなければ政権の安定は難しい状況に陥っているのは周知の通りだ(何とかそうならないように誤魔化しているゆえ、脆弱性が払拭できていない)。歴史的には評判の悪い制度ではあるが安定・成長協定を軸に欧州委員会が財政政策を抑制してこなければ、財政規律は野放図なものになっていた可能性はある。

 この点、与党を含めた全政党がインフレ下での拡張財政を主張する日本において、「国政選挙が金融市場の材料になる」、より厳密には「国政選挙が円安・円金利上昇の契機になる」という景色が常態化するのかどうか。第二次安倍晋三政権が誕生し、自民党が民主党から政権を奪取した12年のケースを除けば国政選挙が金融市場のゲームチェンジャーになったことはない。

 しかし、今後は、伝統政党の支配に新興政党が食い込み、経済政策の在り方も変わっていくのだろうか。伝統政党自ら拡張財政路線に手を染めやすい日本において、それはとても不安な話ではある。欧州債務危機を始終ウォッチしてきた身からすると楽観できない政治情勢である。

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