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From NY

2022年7月14日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

独立記念日を前に旅行者でごった返したNYJFK空港

 今年のアメリカの夏の最大のイベント7月4日の独立記念日は、全米各地で花火が盛大に打ち上げられ、平年並みの人出となった。2020年の春にパンデミックでロックダウンが起きてから、2年と数カ月。ようやく日常がノーマルに戻りつつあることを実感させられた。

後遺症が残るエアライン業界

 だが全てが平常モードで機能しているわけではない。パンデミックは未だに様々な形で社会に後遺症を残しているが、中でも苦戦しているのが米国のエアライン業界だ。

 今年の独立記念日は月曜日だったこともあり、人々の移動はパンデミック以前のレベルに達した。この週末に米国の国内便チケットを購入した人は、およそ3600万人と見積もられている。ところが移動がピークに達した7月2日土曜日には、国内便全フライトのおよそ2.7%にあたる657便が欠航になったという。

 この混乱の大きな要因は、エアライン業界のパイロット不足にある。パンデミックでロックダウンが始まった2020年、エアライン業界は生き残りをかけて大々的なリストラを行った。また政府の補助金を使って、パイロットの早期退職を募ったのである。乗客が戻ったのだから、リストラをしたパイロットを呼び戻せば良いという単純な構図ではない。休職中に新たな職種についた人々も少なからずいるし、十分な退職金を手にしてストレスを抱え込む現場に戻る気はないという人もいる。

 またパイロットのライセンスはその種類によって担当できる機種、飛行距離が細かく分類されていて、ライセンス取得、更新するのには一定の期間とトレーニングが必要とされる。欠員が多くても、すぐに補充はきかないのだ。

 一方で人手不足の中でオーバーワークを強いられてきた現役のパイロットたちは、給与だけでなく、労働条件の改善を要求。現在労働組合を通してエアライン業界と交渉中だ。フォーブス誌によると、今年はおよそ1万2000人のパイロット不足が見込まれているという。ロシアの侵略戦争の影響で燃料費が高騰していることもあり、エアライン業界にとって踏んだり蹴ったりの状況がしばらく続きそうだ。

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