From NY

2021年3月15日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

 携帯電話にメールが来たのは、2月27日土曜日だった。

 「あなたは新型コロナウィルスのワクチン接種の予約を入れることが可能です。アプリからお入りください」

 かかりつけの、ニューヨーク大学ランゴン病院からのお知らせである。

 米国のFDA(食品医薬品局)が2020年12月11日にファイザー社、数日後にモデルナ社の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を出した数日後、筆者の住むニューヨークでも接種が始まった。

 ニューヨーク州でまず優先接種の対象になったのは、高齢者と医療関係者。さらに教育関係者、警察や救急隊員、飛行機、電車など公共交通機関の乗務員、刑務所など更生施設の看守、グループホームの入居者と従業員、食料品店の販売員などだった。さらに2月に入ってからは、レストラン従業員、タクシー、リムジン協会に所属する運転手が加えられた。

 まだ高齢者に達しておらず、医療関係でもない筆者の順番は、まだまだ先だろうと気長に構えていた。ところが2月15日から疾患を抱えている人、妊婦が優先接種リストに加わえられ、癌のサバイバーも対象の中に加えられていることが判明。筆者も接種優先者リストに加えてもらったのである。

(Elena Malysheva/gettyimages)

急ピッチで進むワクチン接種

 1月にバイデン大統領が就任してから、ワクチン接種は国家の最優先事項として急ピッチで進められてきた。

 接種開始当初はワクチン不足が深刻で、予約が取れない、という不満の声が聞かれた。特に2月の前半に大雪が降った影響で、ワクチンの流通が一時的にストップしたこともある。だが雪が溶けて気候が安定すると共に、滞っていたワクチンの流通が再開。ニューヨーク市内にも大量に入荷され、筆者のところにも予約可能のお知らせが届いたのである。

 現在ニューヨーク市内では、市の運営と州が運営する接種会場があり、どちらも全て予約制だ。病院や医療クリニックだけでなく、多くの薬局、教会や学校などでも接種可能になった。さらにジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンター、ヤンキースタジアム、メッツのホーム球場のシティフィールドスタジアムに大型の接種会場が臨時設置されて、なんと週7日間24時間運営されている。

 もっとも普段は24時間動いているニューヨークの地下鉄が、現在は夜中の2時から4時まで消毒、清掃のため閉鎖されている。そのため、この時間に予約を入れた人たちは自家用車かタクシーを使うしか移動方法がない。

 それでも一時の「予約が取れない」という不満の声は聞かれなくなり、筆者の周りにも接種を済ませたという人々が増えてきた。

いよいよ接種会場へ

接種会場(著者撮影)

 さてログインしてニューヨーク大学ランゴン病院のアプリを開けると、すでにCOVID-19 Vaccine予約専用のアイコンが加えられていた。予約時間は20分刻み。あまり混まないように、平日の昼間を選んで完了。あっけないほど、簡単に予約ができた。

 3月4日の午前中、少々緊張しながら接種に向かった。病院のロビーには、専用の受付デスクが設けられていて、スマホの予約確認の画面を見せて通過。廊下には、「接種会場」と矢印が書かれた張り紙が続いている。たどっていくと、廊下に10人ほどの人が距離を開けて列に並んでいた。

 「これをスキャンして、用紙に記入してください」と、係員が一人一人に声をかけている。壁に貼ってあったQRコードをスマホでスキャン。出てきた用紙に氏名、誕生日など記入して事前の受付作業は終了した。スマホがなければ何もできない時代になったのだと痛感する(もっともここでは、スマホがない高齢者などのために、手書きで記入する用紙の用意もあった)。

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