2024年4月22日(月)

From NY

2021年3月15日

一瞬で終わったワクチン接種

 いよいよ接種会場に入る。パーティー会場くらいの広さの部屋に、衝立で仕切られた接種ブースが8カ所ほど設けられていた。空いているブースの白衣の男性に呼ばれた。

 「フルネームと、誕生日をお願いします」と40代くらいの看護師らしい男性。彼の隣の椅子では、若いアジア系のやはり白衣の男性が丁寧に注射器にワクチンらしきものをゆっくりと注入している。

 この若者は、どう見てもまだ20代に見える。まだインターンではなかろうか。他のブースを見ると、2人いるのはここだけで、残りはいかにもベテランらしい風格を漂わせた中年の女性がほとんどだった。私もベテランの看護師さんが良かったなあ、と一瞬後悔するが、順番で呼ばれたのだから仕方ない。手術じゃないんだから、注射の一本くらい下手でも死ぬことはあるまい、と心の中で覚悟をきめた。

 私のデータをPCの画面で見ている看護師に病歴を聞かれて、年代順に答える。

 「ずいぶん、いろんな病気をやりましたねえ」

 「ええ、一生分の前払いしました」

 「一生分に、エキストラでおまけまで払いましたね」

 こんな軽口を交わしながら、私をリラックスさせてくれようとしているのを感じる。

 「食事、薬品でアレルギー反応を起こしたことは?」

 「ペニシリンアレルギーです。あとはありません」

 そうこうしているうちに、(多分)インターンの注射の準備が整った。数日前に受けた友人が、「腕の上の方にするので、ノースリーブを着ていった方が良い」とアドバイスをくれたので、重ね着をしていたカーディガンの右の袖をはずす。

 注射というのは何度受けても楽しいものじゃないけれど、直前にちらりと見た注射針は見慣れたものより細かったのでちょっと安心した。

「はい、1,2,3」チクッ。一瞬で終わった。

副作用などは?

 「これで終わりです。念のため、向かいの部屋で15分ほど休んでください」

 部屋の片隅には、数人の年配の患者たちが椅子に腰かけていた。

 「あそこですか?」

 「いえ、あれは以前に予防接種でアレルギー反応を起こしたことがある人たち。用心のため、近くにいてもらっているのです。あなたは、廊下を挟んだ向かいの部屋です」

 言われたように、いったん廊下に出てラウンジのような部屋に移動した。距離をとっておかれた椅子の一つに腰かける。

 車椅子の人以外は付き添いもなく、みんな1人ずつ静かに座っていた。

 すでに接種をすませた知人の間で話題になるのは、やはり副作用のことだ。こればかりは、人さまざまのようでひとくくりにはできない。

 「1回目は腕がちょっと痛くなっただけだったけれど、2回目は風邪のような症状が出たわ。予測していたので、スープを飲んで寝ていたら、1日ですぐ回復したけれど」

 知り合いの70代の夫婦は、そう語った。同じ高齢者でも、1回目も2回目もこれといった副作用はなかったという人たちもいる。

 一説には、若い人ほど副作用があるという話も聞く。医療関係者の20代の女性は、1本目から頭痛、倦怠感、寒気などに襲われたという。

 結論から言うと、筆者は一番恐ろしいアナフラキシーも起きず、翌日も腕がひどく痛むこともなかった。勝負の2本目の予約は、3月30日に入れた。2本目を受けて、10日くらいで抗体ができると言われている。


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