2022年9月27日(火)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年9月22日

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冷泉彰彦 (れいぜい・あきひこ)

作家・ジャーナリスト

ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。近著に『「反米」日本の正体』(文春新書)など。メールマガジンJMM、Newsweek日本版公式ブログ連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

 そんな中で、現時点での経済政策としては円安メリットを活かしたインバウンド観光を一気に再開する、そのためにもコロナ蔓延国の汚名を晴らすためにワクチン接種率を回復させるなど、必要な政策を実施する必要がある。円安を利用して、製造業の国内回帰を進める場合は、これも政策として官民が遂行すべきだ。

国際情勢も鑑みた真摯な議論を

 黒田東彦日銀は、その意味で非常に難しい判断を迫られている。また、岸田文雄政権も右派政策と左派政策をゴチャまぜにして世論を煙に巻くような「新しい資本主義」などという稚拙な細工をするのではなく、円安のメリットを享受するのか、過度の円安を抑制するべきなのか、真摯な議論を提起すべきだ。

 米国の物価高に関しては、消費の拡大による需要爆発だけでなく、国際情勢が関係している。米中の通商紛争が着地点を見出し、ロシアにウクライナ侵攻を断念させれば事態は大きく改善する。事態の改善には大きな政治的な判断と交渉が必須であるし、それを成功させるには民意の支持が必要だ。

 米国では「ラーメン一杯2800円」という安易な報道は、円安と米国の物価高、この2つの極めて重要な問題について、有権者が責任ある大人としての思考を続けることを妨害しているとも言える。とにかく「円安」と「米国の物価高」を掛け算するだけの安易な報道は即刻止めていただきたい。

  
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