2024年4月26日(金)

安保激変

2013年12月9日

 国・自治体レベルでも財政状態が厳しいなか、新たな施設の建設は現実的ではなく、既存の民間施設を有効活用していく視点が求められる。

防衛と災害救援双方に有効な下地島

 こうした南西諸島防衛に寄与する民間施設として目下のところ注目すべきは、下地島空港である。沖縄で3000メートル級の滑走路がある民間施設は、年間約1500万人が利用する那覇空港とこの下地島空港だけだ。

 この下地島空港は、現在定期路線がなく、国内で唯一の航空機の訓練専用空港として利用されている。最近まで、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が支払う定額使用料で維持管理費をまかなっていた。

 しかし、経営再建に取り組むJALはコストなどを理由に12年に撤退。現在はANAと琉球エアーコミューター(RAC)、海上保安庁が使用しているが、ANAは来年度以降の利用意向を保留、新たに日本トランスオーシャン航空(JTA)が来年9月以降に操縦士の訓練飛行場としての利用を検討しているが、現時点では空港の維持に必要な約4億円(13年度)が確保できるめどは立っていない。

 3000メートル級という、戦闘機や大型輸送機の離着陸にも対応できる滑走路を有し、かつ尖閣諸島にも地理的に近い下地島空港は、防衛・災害救援の双方の観点から、南西諸島における要衝と言える。開港以来、給油目的で米軍が332回、防災訓練などで自衛隊が50回、下地島空港を利用した実績がある。

 当然ながら、政府と自衛隊もすでに下地島空港の価値に気づいている。13年度の防衛予算の概算要求には「南西地域における航空自衛隊の運用態勢の充実・強化に係る調査研究」が含まれており、下地島空港が対象の1つであることは間違いない。

 では、下地島空港にはどのような利用方法があるだろう。まずは那覇基地のF15戦闘飛行隊の「止まり木」としての使い方が考えられる。


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