今月の旅指南

2009年8月28日

»著者プロフィール
閉じる

辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

 

  『徒然草』の中にこんな記述がある。

 「仁和寺〔にんなじ〕の法師が、年をとるまで石清水〔いわしみず〕八幡宮をお参りしたことがないことを情けなく思い、ある時、思い立ち、一人で歩いてお参りに行った……」

 この文面からわかるように、石清水八幡宮は京都の神社の中でもとりわけ格の高い神社だ。歴代の天皇から崇敬され、『枕草子』や『源氏物語』にもその名が登場する。

 そんな石清水八幡宮の最も大きな祭事が、毎年9月15日に行われる「石清水祭」だ。もともとは「生きとし生けるもの」の霊を慰める放生会〔ほうじょうえ〕として、清和天皇の貞観5(863)年に始められ、天暦2(948)年以降は勅祭(天皇の勅令による祭り)として斎行されるようになった。

放生行事の「胡蝶の舞」

 祭りは、作法も装束もすべてが平安王朝の時代のままで、“動く古典”と称されている。なかでも見どころは、15日未明の「神幸〔しんこう〕の儀」。3基の鳳輦〔ほうれん〕(神輿)が、約500人の神人〔じにん〕と呼ばれるお供の列を従えて本宮のある男山を下り、山麓の頓宮〔とんぐう〕に渡御される。これは、当時の天皇行列を再現したものだとか。

 また、午前8時に放生川のほとりで行われる放生行事も見どころの1つ。雅楽が流れるなか、神職が稚魚を川に放ち、童子4人が蝶の羽を背負い、「胡蝶の舞」を奉納する。平安王朝文化を目の当たりにする典雅なお祭りをぜひ一見あれ。

石清水祭
京都府八幡(やわた)市・石清水八幡宮(京阪本線八幡市駅下車)
〈問〉075(981)3001
http://www.iwashimizu.or.jp/

◆「ひととき」2009年9月号より

 

 

 


 

 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る