世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月6日

 中国の21世紀海洋シルクロード構想につき、在ニューデリー政策研究センターのチェラニー教授が、Project Syndicateに3月4日付で掲載された論説において、その本質は地域の秩序を中国による覇権に基づくものにする企てであり、これを阻止するには民主国家同士の協調以外にない、と指摘しています。

 中国は、貿易・文化交流を促進するとして、21世紀海洋シルクロードを構築しようとしているが、中国の真の戦略的目標は地域支配である。シルクロード構想は、中国をアジア・インド洋地域の新たな秩序の中心としようとするものである。中国は、隣国との領域・海洋紛争を煽る一方、貿易上の大動脈に沿った優位を確立しようとすることで、アジアの地政学的地図を書き換えようとしている。

 海洋シルクロードの戦略的側面は、人民解放軍が議論を先導していることから明らかである。人民解放軍国防大学の紀明貴(Ji Mingkui)少将によれば、構想は、米アジア回帰の勢いを失わせ、中国が新しいイメージを作り、影響力を勝ち取る助けとなり得る。

 海洋シルクロードの実体は「真珠の首飾り」と殆ど変わらない。中国は構想を推進するのに見かけ上平和的な戦術をとっているが、主たる目標は互恵的な協力ではなく戦略的優位である。

 中国は、援助、投資、その他の経済的梃子を、隣国の対中経済依存を高め、中国との安保協力を拡大させるのに使ってきた。海洋シルクロード構築に、400億ドルの「シルクロード基金」とアジアインフラ投資銀行を用いることは、こうしたアプローチを反映している。

 人民解放軍軍事科学研究院のZhou Bo名誉研究員は、中国のメガプロジェクトがインド洋の政治的・経済的展望を根本的に変えるであろうと認める一方、中国を「強力だが穏やかな」勢力と表現している。これは、新しいアジアの秩序は、日本が中国の台頭を阻止しようと決意している東アジアよりも、中国がインドの長年の優位を掘り崩しつつあるインド洋での出来事によって規定されるということであるので、重要である。

 インドは、確かに中国の行動に疑いを持っているが、中国は、慎重に目標達成に向けて事を進めている。中国がインドに海洋シルクロード構想に加わるよう勧誘したが、その目的は、疑惑の念を抱くインドをなだめるだけでなく、インドの米日との戦略的結びつきの進展を鈍らせることである。

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