地域再生のキーワード

2015年4月6日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 朝市の広場の漁港に面した側にウッドデッキを敷く作業も進めている。半畳分の建設資金として1万円の募金を呼びかけた。「ゆりあげ はんじょう募金」。半畳と繁盛をかけている。全国からの善意と共に、どんどんデッキは伸びていく。

 「このデッキの上で、ジャズフェスティバルをやりてんだ」

 櫻井さんの次の夢だ。震災前から続く人気イベント「さんま祭り」を超える目玉に育てられるかどうか。地元の人たちが楽しめる仕掛けづくりを考えているのだ。目の前の漁港をプレジャーボートの基地にして、遊びに来てもらう場所にしたい。仙台から車で30分という地の利を考えれば、湘南にあるようなヨット・ハーバーを作ることだってできる。櫻井さんの夢はどんどん広がる。

地域の顧客が第一

【Data】ゆりあげ港朝市
日曜と祝日の午前6時~午後1時まで開かれる。地元の食品販売、カフェ、食堂が入っている「メイプル館」は、木曜が定休日で午前10時~午後4時までオープンしている。
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 朝市は組合員全員が儲かっているわけではない。商売は才覚である。同じような食材を扱っていても売り上げは店によってまったく違う。どうすれば、お客さんに喜んでもらい、儲けることができるか。組合員は仲間でもあり競争相手でもある。まさに切磋琢磨だ。

 ダメな店にはやめてもらって結構、というのが櫻井さんのスタンス。すでに空き待ちをしている業者もいる。

 「もっと飲食ブースを増やしたい」と櫻井さんは言う。お客さんに楽しんでもらうためには多様な飲食店が不可欠だと考えているからだ。

 復興ブームが一段落して、被災地を訪れる人の数は大きく減った。観光客や復興支援の波に乗って業績を大きく伸ばしていた事業やお店は、客数減の影響をモロに受けている。そんな中で「ゆりあげ港朝市」がいち早く復活し、今も繁盛しているのは、地域の顧客を大切にすることを第一に考えてきたからだろう。

 常連客にこそ楽しんでもらおうと、常に新しいアイデアを追い続ける─。荒地だけが広がる閖上では「朝市」が楽しいかどうかだけが勝負である。一度失望させたら二度と客はやって来ない。そんな真剣さが、ゆりあげ港朝市を成功に導いたのだろう。

朝市で買った魚介類を食べるグループ


(写真・生津勝隆)

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◆Wedge2015年3月号より

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