この熱き人々

2015年8月28日

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吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

 「岩絵の具を砕いて、膠(にかわ)で薄めて、うるしで塗るなんてまったりしていたらポップじゃない。アクリル絵の具はエレキギターと同じや。ガーッとリズムで描いて、すぐ乾いて、上にまた塗っても大丈夫」

今年春の「祇園大茶会」で飾られた屏風

 まっすぐに、感じたままを、軽やかに、自由自在にリズムに乗って描いていく。ストレート、シンプル、イージー、フリー、そのままではないか。ロックプロデューサーから還暦で転身したのではなく、路上の幼い絵描きも、ケンカ三昧も、プロデューサーも、そして今も、一直線にエネルギーをぶつける姿勢は徹頭徹尾ロックンローラーなのだ。

 そんな木村を「現代の琳派」と称賛する人たちがいる。本阿弥光悦、俵屋宗達が琳派を創始して400年。さまざまな記念イベントへの声がかかる。大胆な配置とデフォルメと省略、金色の使い方など琳派の美意識と重なる部分もあるし、家系による一子相伝ではなく勝手に傾倒して新たな波を作る自由な琳派の精神にも相通じるものがあるように思える。が、そういう声からも本人はフリー。

 「評価されるより受けたほうがうれしい。街を歩いている人やレストランに入った人が、僕の絵を見て『カッコええなあ』って言ってくれたら、最高や」

 まさに生きざまの延長で絵を描く。ロック魂で描く。京都でも東京でも、日本の街のいたるところでライブする木村の絵がエネルギーを爆発させている。まるで無数のロックコンサートみたい……そう思うと、壁がエレキ音を放っているように感じられた。

(写真:阿部吉泰)

木村英輝(きむら・ひでき)
1942年、大阪府生まれ。京都市立芸術大学図案科卒業後、同大学の講師を4年間務める。辞職後、広告などの制作会社を立ち上げ、日本初のロックフェスティバル「TOO MUCH」を企画し話題を呼ぶ。以降、ロックプロデューサーとして数々のイベントを手掛ける。60歳を前に絵の世界に戻り、絵師として京都を中心に壁画を描き続けている。

  
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◆「ひととき」2015年8月号より

 

 

 

 

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