サムライ弁護士の一刀両断

2015年11月11日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。
東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。
以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

 横浜市のマンションが傾き、杭打ち工事がデータの改ざんが見つかった事件が大きな波紋を呼んでいます。

 杭打ち工事を担当した二次下請業者である旭化成建材は、問題の発覚後、杭打ち工事データが改ざんされていたことを早々に認めて謝罪しました。その一方で、データの改ざんが、他にどれだけ存在するのかは、調査結果を待っている状態であり、実態の全容が判明するのはもうすこし先のことになりそうです。

 一方で、問題のあったマンションでは、販売業者である三井不動産レジデンシャルが住民に対して、マンションを建て替えるとしたうえで、転居・仮住まいの費用負担や慰謝料の支払いのほか、希望者に対してはマンションを販売価格で買取る意向を示しています。

 世間を騒がせている「傾きマンション問題」。マンションの販売会社や建設会社はどのような責任を負うのでしょうか。また、今後、別のマンションで工事の欠陥が発見された場合、住民は誰に、どのようなことがいえるのでしょうか。

横浜市都筑区のマンションでデータの偽装を行った問題で、会見を行う(左から)旭化成の平居正仁副社長、浅野敏雄社長、旭化成建材の前田富弘社長、旭化成建材事業本部の前嶋匡商品開発部長=20日午後、東京都千代田区(画像:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

行政上の責任と民事上の責任は区別される

 業者が負うべき責任としては大きく、行政上の責任(場合によっては刑事責任)の問題と、民事責任の問題があります。

 簡単に言ってしまえば、前者は行政処分を受けるかどうかの問題であり、後者はマンションの購入者・所有者に対する補償や、業者間の責任分担をどうするかの問題だといってよいでしょう。

 これら二つの責任は、一応切り離して考える必要があります。業者に行政上の責任が認められたからといって、当然に民事責任が認められるわけではありません。

 ただし、行政処分を受けるような業者は、一般的には、民事責任の局面でも違法性などが認められる場合が多いと思われます。行政処分を受けたことが民事責任の追及の局面で、ひとつの証拠として用いられる場面も多いでしょう。

 次に、行政上の責任と民事責任の双方の観点から、業者にどのような責任が生じるのか、見てゆきたいと思います。

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