横浜市のマンションが傾き、杭打ち工事がデータの改ざんが見つかった事件が大きな波紋を呼んでいます。
杭打ち工事を担当した二次下請業者である旭化成建材は、問題の発覚後、杭打ち工事データが改ざんされていたことを早々に認めて謝罪しました。その一方で、データの改ざんが、他にどれだけ存在するのかは、調査結果を待っている状態であり、実態の全容が判明するのはもうすこし先のことになりそうです。
一方で、問題のあったマンションでは、販売業者である三井不動産レジデンシャルが住民に対して、マンションを建て替えるとしたうえで、転居・仮住まいの費用負担や慰謝料の支払いのほか、希望者に対してはマンションを販売価格で買取る意向を示しています。
世間を騒がせている「傾きマンション問題」。マンションの販売会社や建設会社はどのような責任を負うのでしょうか。また、今後、別のマンションで工事の欠陥が発見された場合、住民は誰に、どのようなことがいえるのでしょうか。
行政上の責任と民事上の責任は区別される
業者が負うべき責任としては大きく、行政上の責任(場合によっては刑事責任)の問題と、民事責任の問題があります。
簡単に言ってしまえば、前者は行政処分を受けるかどうかの問題であり、後者はマンションの購入者・所有者に対する補償や、業者間の責任分担をどうするかの問題だといってよいでしょう。
これら二つの責任は、一応切り離して考える必要があります。業者に行政上の責任が認められたからといって、当然に民事責任が認められるわけではありません。
ただし、行政処分を受けるような業者は、一般的には、民事責任の局面でも違法性などが認められる場合が多いと思われます。行政処分を受けたことが民事責任の追及の局面で、ひとつの証拠として用いられる場面も多いでしょう。
次に、行政上の責任と民事責任の双方の観点から、業者にどのような責任が生じるのか、見てゆきたいと思います。