2024年12月22日(日)

ASEANスタートアップ最前線

2015年10月16日

 ベンチャーキャピタル(VC)は、スタートアップが盛り上がるにつれて、人気のある仕事になりつつある、ような気がする。というのも、弊社のコンタクトフォームに、インターンかフルタイムのポジションを求め、世界中から応募が日々殺到しているからだ。募集していないのにも関わらず、である。確かに、成長性あふれるアジアでベンチャーキャピタルを志すことは、非常にエキサイティングなことなのかもしれない。今回は、その中でも、シンガポールを拠点に、東南アジアのベンチャーキャピタルとして活躍する若手日本人(どちらも20代)の方をお二人お招きし、座談会を開催した。

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 一人目は、日本のベンチャーキャピタルの中でもトップクラスのファンドサイズを持つグローバルブレインから佐野尚志さんをお招きした。グローバルブレインは、1998年に設立され、日本のVCの中では歴史が古い。現在は産業革新機構やKDDIのファンド運営を請け負うなど、精力的に活動されている。二人目は、現地でも評判の高いDMP(Digital Media Partners)に勤める中村玲奈さんをお招きした。DMPは途上国のITビジネスにフォーカスしたVCだ。シンガポールに本社を置き、多国籍のメンバーが東南アジアを中心として世界中を駆け回っている。

 今回は、座談会形式で、なぜお二方が東南アジアでベンチャーキャピタルになったのか、その経緯や仕事の内容について聞くと共に、東南アジアのスタートアップのトレンドや独自性について議論してみた。

ベンチャーキャピタルへの転職は「ご縁」

宮崎 こんにちは。今日はよろしくお願いします。

中村・佐野 よろしくお願いします!

宮崎 早速ですが、中村さん、佐野さんのお二人の自己紹介も兼ねて、これまでのキャリアについておうかがいしたく。なんでベンチャーキャピタルに転職されようと思ったんですか? また、東南アジアでやろう! と思ったきっかけもあれば教えて頂けると助かります。

中村 ではまずは私から。私は、幼少の頃、父親の転勤で海外に住んだことはありつつも、大部分は日本で育ちました。大学卒業後、新卒でドリームインキュベータ(下記DI)という経営コンサルティングファームに就職しました。DIでは、主に日系大手企業の東南アジア市場進出支援の仕事をしていました。

宮崎 そうなんですね。では、かなり日系企業で東南アジア市場に興味を持つ大手企業とのネットワークを築かれたんですね。

中村 そうなんです。現地のパートナー企業(財閥など)とのネットワークも築くことができました。その後、投資銀行に転職するのですが、そこでは、投資する際に必要な視点などを身に着けることができました。また、この頃、知人・友人の中でスタートアップやベンチャーキャピタルに勤める友人が増え、そんな中で、ご縁があり、DMPに参画することになりました。

宮崎 グローバルブレインさんや弊社(IMJインベストメントパートナーズ)とは違って、海外の現地VCに飛び込むってすごいですね。

中村 これまで培った資産を活かしたいと思いました。前職では日系を含む戦略投資家向けに、海外案件投資のアドバイザリーを手掛けてきたので、それを活かしてスタートアップ側の資金調達・エクジットサポート等で価値を提供出来る部分があるかと。東南アジアでは、戦略投資家によるM&Aが主流なエクジット機会になる市場なので、よりそうしたサポートの需要も大きいのではと判断しました。

宮崎 ありがとうございます。佐野さんはいかがですか?

佐野 自分は、新卒でソニーに入社し、海外事業開発をずっと担当していました。入社後、シンガポールに赴任する機会があり、グローバルブレインに入社する前からこちらで働いていました。日本にいた頃から、北米、中南米、欧州と世界各国を訪問し仕事をしていましたが、その中でもシンガポールから東南アジアのマーケットを見ていて思ったことは、「活力がある」ということです。日本にはない、東南アジアのエネルギー量の大きさを業務を通して感じていました。

宮崎 熱量、わかります。でも何でVCなんですか? メーカーからVCというのもまた珍しいですよね。

佐野 大学時代、ゼミでは、アントレプレナーシップやアントレプレナーファイナンスを専攻していました。ゼミを通して、起業家や投資家の方が大学に来て下さり、話をしてくれる機会が数多くありました。ゼミの活動を通して、当時からVCには興味があり、いずれはVCで働くということを念頭に仕事をしていました。そして、たまたま縁があり(笑)、現在弊社にいます。

宮崎 そうなんですね! みんな「ご縁」だなあ(笑)。私自身のことを話すと、実はVCよりも海外で働くことの方が重要でした。前職の電通で海外赴任させて頂く機会をいただけたら、辞めてなかったかもしれない。アメリカはビザを取得するのが難しいし、スキルをフルに活かせるような機会はほとんどなかった。そんな中で、たまたま求人情報で見つけたのが弊社だった、というご縁でした。


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