サムライ弁護士の一刀両断

2015年11月11日

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行政上の責任は?

 まず、建設業者としてマンションの建設工事を請け負うためには、建設業の許可を受ける必要があります。そして、建設業の許可を受けた建設業者は、建設業法上の規制や、監督官庁による監督を受けます。

 今回の件では、杭打ち工事部分を請け負った二次下請業者が、工事データの改ざんを行ったことを認めました。

 建設業法によると、建設業者に法令違反があったり、請負契約に関し不誠実な行為を行ったような場合、監督行政庁が建設業者に対して「必要な指示」をすること(いわゆる「指示処分」)や、1年以内の営業停止を命じることができるとされています。

 工事データの改ざんは、少なくとも「不誠実な行為」にあたると思われますので、二次下請業者は、少なくとも指示処分を受ける可能性があります。営業停止まで命じられるかどうかは、調査で判明する行為の悪質性などによると思われます。

 また、元請業者や一次下請業者も、関与のありかたによっては建設業法上の処分を受ける可能性があります。特に多数の下請業者を抱える元請業者には下請業者に対する監督責任がありますので、もしも「監督責任を尽くしていなかった」といえるような状況があれば、やはり建設業法上の指導処分を受ける可能性があります。

 指示の内容としては、監督官庁から、再発防止に向けた社内体制の整備などを求められることが想定されます。指示処分を受けた場合、その内容が公表されますし、公共工事などの入札に参加できなくなる場合もありますので、決して軽い処分とはいえません。

 また、指示された内容に従わない場合には、営業停止や建設業許可の取り消しなど、さらに重い処分を受けることになりますので、指示処分を受けた業者には真摯な対応が求められます。

 次に、販売業者は、宅地建物取引業法(宅建業法)上の免許を受け、宅地建物取引業者(宅建業者)としてマンションを販売しています。これら宅建業者には宅建業法による法規制や監督官庁による監督を受けます。

 そして、宅建業法も建設業法と同様に、宅建業者に法令違反があった場合や、取引関係者に損害を与えた場合、不公正な取引を行った場合などには、監督官庁による指示処分や1年以内の業務停止命令の可能性がありますし、特に態様が悪質な場合には免許取り消しの可能性もあります。

 現時点で報道されている限りでは、販売業者が工事に不備があることを知りながらマンションを販売した可能性は低いようです。

 もっとも、その場合であっても、今後、販売業者が民事責任を十分に果たさないような場合には、「取引関係者に損害を与えた」などと判断され、行政処分が下る可能性も否定できないでしょう。

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