2024年4月27日(土)

地域再生のキーワード

2015年12月22日

つながりが太いNPO

 佐賀をNPOの集積地にするというアイデアを強力に後押ししているひとりが大西健丞氏。難民等を支援する国際NGO「ピースウィンズ・ジャパン」をはじめいくつものNPO、NGOの代表を務める。この連載の15年5月号で取り上げたが、広島県の神石高原町で「犬の殺処分ゼロ」を目指すプロジェクトを立ち上げた。

 やはり、ふるさと納税の仕組みを使って1億円を超える資金を集めた実績を持つ。横のつながりが太いNPO関係者の間で、いま、佐賀がホットなのだ。

「TOJIN茶屋」

 佐賀に進出するNPOの支援体制も整えている。佐賀のNPOが共同で立ち上げた「佐賀未来創造基金」もそのひとつ。「地域の人、モノ、カネ、情報といった資源を循環させていくのが狙いで、県外のNPOが佐賀に進出する仲立ちをしたい」と理事長の山田健一郎氏は言う。山田氏自身、いくつかのCSOのスタッフを兼ねている。

 NPOの組織立ち上げの支援や、金融機関の融資の紹介などを行うほか、佐賀市から指定管理を受託している「TOJIN茶屋」には、共用のオフィススペースや、多目的のレンタルスペースなどもある。1階にあるカフェ&バーは、NPOやソーシャルビジネス系の若者たちが多く集まる場になっている。

佐賀市の市民活動プラザにはNPOが使用するレターケースが200以上ある

 大企業と違いNPOを誘致しても経済波及効果が乏しいと思いがちだ。だが、ソーシャルをキーワードに全国とつながる若者などがどんどん集まってくれば、そのエネルギーのもたらす効果は小さくないだろう。NPOで地域おこしを狙う佐賀の取り組みの行方に注目したい。

 (写真・生津勝隆 Masataka Namazu)

  
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◆Wedge2016年1月号より

 

 

 

 

 


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