ビジネスか? 愛か?
巨人キャンプ参加の松井秀喜


赤坂英一 (あかさか・えいいち)  スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

赤坂英一の野球丸

ジャーナリスト赤坂英一による野球日記。現場目線で、野球の今を深読みしていく。

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ゴジラ松井はこれからどこへ行こうとしているのか? 将来何がやりたいのか? 巨人の臨時打撃コーチとして宮崎キャンプに参加し、チームメートだった高橋由伸監督のために選手の指導に当たる松井秀喜氏の姿を見ながら、そんな素朴な疑問が沸き上がってくるのを抑えることができなかった。

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 このキャンプで松井氏が最初に直接コーチしたのは片岡治大。木の花ドームと呼ばれる室内練習場で、手取り足取り、自ら打ち方を実演して見せながらの指導は45分間。とりあえず、熱心なのはいいことである。

 しかし、松井氏は初めて臨時コーチをした2014年の宮崎キャンプでも、やはり片岡にマンツーマンで打撃を教えているのだ。片岡はその14年に西武からFA移籍したばかりだった。08年にパ・リーグ最多の167安打をマーク、07年から10年まで4年連続盗塁王のタイトルを獲得した実績もある。要するに、いまさら誰かの指導を必要とするようなレベルの選手ではなかったはずだ。松井氏の指導で片岡の成績が上がったならともかく、14年は打率2割5分2厘、15年は同2割4分4厘と著しく低迷、スタメン落ちはおろか二軍落ちまで経験する体たらくだった。

2週間でプロの選手のメンタルが変わるのか?

 その14年に初めて松井臨時コーチを招聘にするに当たり、巨人のトップは何と言っていたか。「世界レベルで通用するメンタルを注入してほしい」と原辰徳前監督が言えば、白石興二郎オーナーも「彼の得た知見、体験を伝えてほしい」と話した。松井氏もそんな要望に応えて、一昨年も今年も巨人の選手と首脳陣に訓話を行っている。だが、そうした話を聞く程度のことで、仮にもプロの選手のメンタルがガラリと変わるものだろうか。

 巨人が14年にリーグ優勝しても、「これぞ松井効果」という声は、チームの中からも外からもついぞ聞かれなかった。評価されたのは打線を取っ替え引っ替えしながらチームを優勝まで引っ張った原前監督のやり繰り上手のほうだった。翌15年の優勝争いは非常に熾烈な接戦となったあげく、ヤクルトに1・5ゲーム差で優勝(4連覇)を逃している。あえて皮肉たっぷりに言えば、松井氏の知見や体験、選手に教え込んだはずのメンタルはまったく役に立たなかったわけだ。

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赤坂英一(あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。主な著書に『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『広島カープ論』(PHP研究所)など。

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