WEDGE REPORT

2016年4月18日

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ギャングのイスラム

 捜査当局が今回の一連のテロ事件の背後にいたと注目しているのが“ジハード(聖戦)のサンタクロース”と呼ばれていたハリド・ゼルカニ(42)という男だ。テロリストたちの多くの出身地であるブリュッセルの移民街モレンベークの屋根裏部屋に居住し、カネに困った若者らに小遣いなどを与えたことからサンタクロースと言われ、過激な思想を吹き込んだISの助言者だ。

 これまでの調べによると、ゼルカニ自身はシリアで戦ったことはないが、若者約50人をシリアのISの元に送り込んだといわれる。彼の信奉者の中には、パリ事件の首謀者アバウド、サラ・アブデスラム、2つのテロで爆弾を製造したラシュラウイらが含まれている。ゼルカニは2年前に逮捕されている。

 彼が引き込んだ若者らの特徴は犯罪者が多いということだ。例えば、アブデスラムは麻薬の密売人としての犯罪歴がある。ブリュッセル空港の自爆犯イブラヒム・バクラウイは2010年に警官を銃撃して刑務所に入った。

 つまり犯罪者とイスラムの過激思想が融合してテロリストが誕生したということになる。「ギャングのイスラム」と呼ばれる所以である。ゼルカニに徴募された多くの若者は当初、イスラムの何かも知らず、格好いいジハードや映画の戦士ランボーに憧れただけのチンピラたちだった。

 ゼルカニはこうした若者に対し「犯罪歴はイスラムの大義の妨げにならない。重要な土台になる」と吹き込んだ。ISは若者の犯罪者が銃器の扱いになれ、裏社会にも通じてテロに役立つとしてゼルカニに徴募を指示したのではないかと見られている。

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