オトナの教養 週末の一冊

2016年5月28日

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 風況条件や騒音などを考え合わせると、日本ではむしろ、地熱やバイオマス、揚水発電の利用を促すほうが、“適材適所”になると私は考えている。

 本書でも、アイスランドをはじめ地熱資源が豊富な国々の取り組みが紹介され、興味深い。日本には8万メガワットを超える開発可能な地熱発電容量がある。これは総電力需要の半分以上をまかなえる規模であるが、現時点の地熱発電容量は500メガワットにとどまる、とある。

 地熱発電の大きな利点は、安定しており、なおかつ、風力やソーラーからの不安定な電力が増えてきても、変動に合わせて発電量を増やせることだ。高くつく化石燃料発電所を待機させておく必要が減る。

 さらに、石油やガスにおける水圧破砕法の応用版である「EGS(強化地熱システム)」という技術が出てきたという。「より深いところの地層が対象になれば、有害な化学物質は一切使用せずともよく、石油やガスの採掘で水圧破砕法を使う場合に比べ環境に有害な負荷を与えるリスクがずっと低い」という『サイエンス』掲載の論文が紹介されている。

途上国の動向が鍵を握る

 今のところ、再生可能エネルギーが主役の座にあるのは、風力の盛んなデンマークでさえ1カ月間程度でしかない。しかし、本書は、エネルギーの主役交代が「これから10年の間に凝縮した形で」進むし、また、進められなければならない、と訴える。

 「新しいエネルギー経済への近道」を進むことができる発展途上国の動向が、その鍵を握るのではないだろうか。


  
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