2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月18日

 米中戦略・経済対話では、習近平総書記の冒頭のスピーチからも分かるように、中国側は、「対立は脇に置き、共通利益を拡大しよう」という基本方針で臨みました。米国は、ケリー国務長官のスピーチにあるように、「対立を緩和させ取り除こう」という立場でした。その結果、シンガポールの「聯合早報」が伝えるように、「南シナ海の紛争、人権、NGO問題など、中核となる問題において合意は成立せず」に終了しました。

強硬にならざるを得ない中国の対外姿勢

 中国の対外姿勢は、ますます内政の影響を強く受けるようになっています。習近平の権力掌握は一歩後退を余儀なくされており、組織の統制に苦しんでいます。江沢民と胡錦濤は、各人の利益に配慮し、その見返りとしてトップの指導を尊重させるやり方を基本としましたが、習近平は、そうではありません。その分、対外姿勢は強硬とならざるを得ませんし、習近平に対する揺さぶりを目的とする不規則な動きも目立ってきます。

 米国側代表団と習近平との会談の内容については、詳らかではありませんが、ケリー長官は、記者会見で、「とても生産的な会談であった」と言っています。楊潔篪も閉会式のスピーチで、「両軍関係の新たな発展を推進するために努力する」と言っています。人民解放軍の最近の不規則な動きは、これらの党中央の動きに対する反発の現れと見るのはうがち過ぎでしょうか。来年の秋の党大会まで、諸勢力のつばぜり合いは続きます。
 

  
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