風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年2月11日

»著者プロフィール
著者
閉じる

野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

3歳児が入園して1週間後の「入園を祝う会」では、6人の風組(年長児クラス)の人たちが花組(年少児クラス)、鳥組(年中児クラス)にこんなことを伝えました。
・風組が作った風車をあげるからね(望恵)
・風車はフロンターレであげるよ(恵雅)
・風車のまわし方を教えてあげるからね(隆太)
・フロンターレまで一緒に連れていってあげるよ(奏)
・風車の棒は危ないから目に入れたり、人に向けたりしないでね(利紗)
・風車が壊れたら直してあげるからね(功征)
中庭での集会の後、花組と手をつないで、フロンターレへ出発です。道路へ出るとすぐに「車が通る側は風組に代わろう」と仲間に声をかける貴良くん、美佑ちゃん。中庭で並んでいる時から「えーっと、こっち側が車が通る方だよね」と確認しあって花組と手をつないでいた美代ちゃんと和輝くん。あっちこっちに飛びまわる花組の修吾くんに「こっちだよ。そっちはダメだよ」と2人がかりで手をつないでいた遼くんと和俊くん。明穂ちゃんの帽子が前後反対だと気づいた智康くんは、被り直してあげました。そんな子どもたちの姿を見ながら、優しさは人から人へ伝わっていくものだと改めて感じたのでした。
フロンターレから帰る途中「今日は花組とお弁当食べたいなぁ」と歩希くん。「花組は今日が初めてのお弁当だから、まだ無理だなぁ」と言うと「僕たちが教えてあげるから大丈夫!」との返事。なんとも頼もしい子どもたちの姿、嬉しく思います。                              風2組 学級通信 「麦」より

 密着レポート第8回「年長が年少に優しくできるのはなぜ?」で、風の谷幼稚園の年長児(「風組」)が年少の子どもたちに対して、優しく穏やかに接している様子をお伝えした。一般道路を一緒に歩くときは風組が年少児の手をとり、自ら車が通る側を歩いて年少児を守る。そして、泣いている年少児には優しく声をかけ、寄り添いながら元気づけてやる。年長児としての“自覚”と“誇り”をもって振る舞う姿には、現代の大人社会がどこかに忘れてきてしまった大切なことを教えられる気持ちにすらなってくる。もちろん、年長児たちのこの姿は教育の賜以外の何物でもない。今回は、年長児としての“自覚”と“誇り”を育てる教育について見ていこう。

“優しい行動” の根本にある
“人を思いやる心”

 花組、鳥組でのさまざまな活動を経て、いよいよ園内の最年長という立場である風組に進級した子どもたち。新しい教室に移り気分も新たになった4月、彼らが一番に取り組むのは、新入園児である花組を迎える準備だ。新入園児たちが早く幼稚園を好きになってくれるようにと行われる「入園を祝う会」は、風組が主体として内容を考え、運営を行っている。

 このカリキュラムは、先生からの問い掛けによって、自分たちが入園したてのころを思い出すことからスタートする。(この様子は密着レポート第8回参照)

 自分が花組だったときの心細い気持ちや不安な気持ち、そして風組にしてもらって嬉しかったことをそれぞれが振り返る。すると、子どもたちの間には「自分たちがしてもらって嬉しかったことを、新入園児たちにもしてあげよう」という合意が自然と出来上がる。そして、それが冒頭のエピソードでご紹介したような年少児へのメッセージとなり、それを行動で表現するのが「入園を祝う会」だ。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る