山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年11月2日

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今年の中国経済の動向を総括すると

 2016 年1-9 月期の中国経済を総括すると、消費は自動車販売の好調に支えられて堅調だったものの、製造業の投資に勢いはなく、インフラ投資は息切れ気味となり、投資の減速傾向に歯止めが掛からなかった。中国の景気の動向について各分野から見てきたが、そろそろ結論に入りたい。

 景気動向は減速基調が続くが、政府のインフラ投資や国有企業の投資拡大が景気の下支えになると予想している。個人消費では今年の自動車販売の大幅な伸びは、昨年からの購入刺激策が原因だから一過性と考えるべきだ。仮に景気の下支えのために刺激策が継続したとしても長続きはしないと考えている。一方、企業債務の過剰感が強いなか、不良債権が急増しているので金融システムの不安定化に繋がるリスクが心配だ。

 住宅市場の過熱感はまだ収まりそうにもないが、住宅バブルを抑えるために政府は何らかの手を打ってくると予見している。小売市場は引き続き好調に推移するが、ネット販売などの新しい市場構造がより競争力のある市場を形成していくと思われる。民間企業の投資行動は大きな変化はないと予想するが、需要と売り上げの伸びが期待できないことと、債務と設備の過剰感が強まるなかで追加投資の旨味はあり得ない。

 他方、国有企業は固定資産の投資やインフラ投資を推進することで景気と雇用の下支えの役割を担うはずだ。国有企業改革が進まないなかで、民間企業が新たな投資分野を開拓するのは容易ではないため、民間企業の投資動向は引き続き要注意だろう。2017 年に向けての中国経済は、不透明だが、公共投資は別にして「住宅販売・建設の個人消費動向」「民間企業の投資動向」「自動車販売の小型車減税の延長案」の3項目が来年度の景気動向の明暗を分けるのではなかろうか。

 景気の先行きは今のところ、下げ止まりとなっているが、2017年に急激に回復することは無理だと考えている。つまり中国の経済動向は現在、底打ちはしたようだが今後も「底練り状態」が続くと予見せざるを得ないのだ。

  
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