家電口論

2017年1月2日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

これからの主流になるかパナソニックの『高速PLC』

CEATEC2016 でもHD-PLC関連の展示があった。

 PLCとは、Power Line Communication、電力線通信のこと。電力線、つまり家電に電気を供給する電線をそのまま使って通信、データのやり取りをするというモノだ。電源ケーブルが通信ケーブルの役割をするので、便利そうである。技術も10年以上も前からある。しかし今でメジャーになっていない。それは次の2つの理由のためだ。1つめは漏洩電磁波の問題。そして2つめは通信信号に関する問題だ。

 漏洩電磁波というのは、AVを趣味としている人なら知っている人も多いが、電力線に高周波を重畳すると、電力線がダイポールアンテナになり、漏洩電磁波が発生するというものだ。その周波数は短波帯の電波と重なる。短波ラジオ、アマチュア無線、非常通信用無線などの無線通信、電波天文学などに影響が出るのだ。微弱だから心配しすぎと笑ってはいけない。昔、アメリカの潜水艦がオホーツク海にあるソ連の海底通信ケーブルのまわりを囲むように傍受ポットを取り付け、その漏洩電磁波から通信を傍受する。記録は数カ月ごとに取りに来るという「アイビー・ベルズ作戦」が実際に行われたくらいだ。つまりセキュリティへの問題を含むのだ。ただし現在は、非常用の周波数をPLCの影響から保護するフレキシブルノッチ技術などが提唱されている上、同軸ケーブルを使用したPLCは、この様な問題は発生しない。

 通信信号に関しては、いろいろなモノがつながれるのでノイズが入るため信号品質は落ちる。そして通信速度。光通信のように早くはない。このため込むと対応が追いつかず、「データ待ち」などが発生する問題がある。

 ではWi-Fiでイイじゃないかと問われると、Wi-Fiはまだまだ難点が多いのも事実。フラットな家ならまだしも、2F、3F建ての場合は、電波が弱くなることも多い。PCとネットはケーブル接続をする人が多いのではないかと思う。セキュリティもしやすいし、通信速度が安定するからだ。しかし、ケーブル接続は面倒であるのも事実。一般家庭の場合は、電話回線が基本で、そこからいろいろなところに引き回すことを想定していないからだ。

 PLCにはこれがない。全ての部屋に照明もしくはコンセントがあるように、どの部屋からでも対応できるのだ。私は『天井家電(照明)と通信は相性がイイ』と考えている。通信システムに常に電気が供給される。しかも部屋の中央にあるため、死角ができにくい。その上、天井設置なので邪魔にならない。部屋の中央に設置して欲しい家電は、空気清浄機を初めいろいろあるが、実際部屋の中央に置くことなどはできないモノが大半である。

 今回、パナソニックが実証実験に用いるのは「高速PLC(HD PLC)」。通常のPCLより高速となっている(使用周波数帯:4 - 28MHz。最大物理速度 (PHY) :210Mbps、実効速度は最大90Mbps (UDP) 及び65Mbps (TCP)。通信距離最大屋内200m)。パッケージのBlu-ray の標準転送速度が54Mbpsなので、HD映像を送っても問題ない実効速度を持つ。しかも今回、HEMSで基本とされている通信プロトコルECHONET Lite(エコーネット・ライト)を用いていない。これはHEMSに囚われない家電ネットワークを構築する意味で重要である。

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