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2017年3月16日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『銀盤の軌跡』(新潮社)などの著書もある。

 マンハッタンの中心、42丁目とパークアベニューにあるグランドセントラル駅。郊外から通勤する人々の窓口でもあると同時に、観光名所でもある有名な建物だ。

 もともと19世紀に蒸気機関車の騒音に悩まされたニューヨーク市民の苦情により、当時の中心地であったダウンタウンから遠く離れた42丁目にこの駅の前身が建てられたという。現在の建物は3代目で、1913年にオープンした百年あまりの歴史を持つ。

グランドセントラル駅(iStock)
 

 さて、レストランやショップの利用客も含めると日々75万人もの出入りがあると言われるこのグランドセントラル駅に、突如日本の石庭が出現した。

石庭(筆者撮影)

 実はこの石庭、3月8日から10日までの3日間、日本政府観光局(JNTO)が主催したジャパン・ウィークの展示物の一つだった。毎年この時期にグランドセントラル駅の42丁目側にあるベンダービルトホールにて開催される、訪日観光促進イベントなのである。

回転すしで大混雑した昨年

 昨年はこのイベントで回転すしのカウンターが登場し、行列が外まで溢れて急遽整備係が交通整理を行うほどの騒ぎになった。

 そのさらに前年は「デパ地下シリーズ」で和菓子類などが並び、その前は「駅弁シリーズ」で売り切れ続出。いずれも大盛況で、悩みと言えば混みすぎてすぐ品切れになったり、入場制限をかけたりしたため、気軽に立ち寄るようなイベントではなくなってしまったということぐらいだろう。

 さて今年は一転して、食べ物の扱いは最小限に抑えて出汁の「久原本家茅乃舎」のみ。目玉がこの龍安寺を模したという石庭で、展示スポンサーはJR東日本、富士フィルム、お茶の伊藤園、全日空、そのほかニューヨークの日系旅行代理店など。例年に比べるとひとではかなり少なく、地味な印象である。

 アメリカのインターネットレビューサイト、Yelpを見ても、今年は食べ物が少なくてがっかりしたというレビューが多かった。

出汁は英語で何という?

 それでも茅乃舎の試飲コーナーにはそれなりに人が集まり、

「What is it?」(これは何?)

「It’s soup broth.」(スープの出汁です)

 という会話がひっきりなしに交わされていた。出汁は英語で、soup broth あるいはsoup stockと言う。ちなみに日本で一般的に使われるブイヨン(boullion)は、フランス語だ。
余談だが、相手に職種を尋ねた知人が「I’m in charge of stocks.(私はストックの責任者です)」という答えに、てっきりウォール街の証券(Stock)売買人なのだろうと思い込んでいたら、実はsoup stocksの意味で、相手はレストランのスープ担当シェフだったという笑い話のような実話もある。これだから英語は、油断がならない。

 話がずれたが、茅乃舎以外に手ぬぐい屋やJR東日本の新幹線のミニ模型などの前にも、それなりに立ち止る人々が見られた。

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