2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2017年3月29日

 ただ、第3四半期までの業績(4~12月期)を見ると、営業収益は宅配便荷物の増加により前年同期比で3.1%伸びたが、営業利益はドライバーの人件費増が響いて6.5%減少するなど、多忙の割には利益につながらない「豊作貧乏」の状態になっている。その理由は、「物流センターを効率化しても、『ラストワンマイル』と呼ばれる配達の最終段階で大きな課題が残っているため」(畠山和生ネットワーク戦略部プロジェクトマネージャー)だ。

ネット通販の普及で「止めない物流」が危機に瀕している(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

再配達を減らすために全社が力を合わせるも……

 同社は、ラストワンマイルでの課題を克服するための効率化も進めている。その一つが、数年前から取り組んでいる「チーム集配」だ。それまではドライバーが担当地域を1人で受け持っていたが、複数人での集配に改めた。早くからチーム集配に取り組んできた東京都葛飾区のチームに現状を聞いた。主婦パートの同前三貴香さんは、午前中だけ週に5日配達を担当。「私も含めた主婦のパート従業員は土地勘があり、地域に密着している分、再配達も少しは減らせる」と教えてくれた。

 宅配業者を悩ませるのが再配達だ。ヤマトもチーム集配で地域の主婦を活用し無駄を減らそうとしているが、その効果は限定的に見える。再配達の割合は約2割で、国交省でも「社会的損失」として解決策を検討、実施してきた。現状の解決策は、「最寄り駅やコンビニエンスストア、マンションなどへの受取ボックス設置を増やし、利用者がこのボックスを利用することで再配達の無駄を省く」、「スマホを使って利用者に配達日時を連絡することで確実に受け取ってもらう」などが挙がる。

 このほか、国交省は1回の配達で受け取ってくれた届け先に、宅配・通販事業者から100円以下相当のポイント付与を提案している。しかし、「負担するのが宅配事業者なのか、通販事業者なのかが不明確で、実際には難しい」(畠山氏)と、実施には消極的な姿勢だ。


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