ネット炎上のかけらを拾いに

2017年4月27日

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期待を裏切らないあの人だけが乗っかった

 記事にマジレスするのであれば、日本は労働時間のわりに生産力に乏しい「効率の悪さ」が指摘されているのであり、「労働時間が長いことを嫌がるな」と延々と説くこの記事は、この点を全く見据えていない。働き方の効率についてだけではない。過労死した人や過労の末に鬱を患った人、家庭が崩壊した人、自殺した人のことも、この記事では全く触れられていない。

 そもそもなぜ今「働き方改革」が進められているのか。それはもちろん、従来の日本の働き方が時代の流れに合わなくなったからだ。モーレツ社員が長時間労働でこなしていた労働の多くが、IT化で簡略化されるかなくなっている。20年後には今ある仕事のいくつかはなくなっていると言われる中、必要なのは長時間働くことではなく、アイディアを生み出すことだ。過労、疲労していてはアイディアは生まれない。優秀な若手ほど、仕事を楽しむことに積極的だ。

 それなのに未だに「長時間労働は美徳」「楽しむなんて生意気」「まず苦労するべき」の価値観に縛られたままの人たちがいる。自分たちのマネジメントの失敗を振り返りもしないこういう人たちのことを躊躇せず老害と呼びたい。

 とはいえ、現代ビジネスの記事は、津田氏の言う通り、ある世代を慰撫することが目的なのだろう。この文章に、若者を説得する意図があると考える人はいないだろう。若い世代を忌々しく思う人たちが、同じ思いを持つ人だけに届けばいいと思って制作した記事。もともと考えの違う人の気持ちを聞く気がないのだから、炎上なんて屁でもないのではないか。

 などと思っていたら、1975年生まれ氷河期世代中期にあたる人が記事を絶賛していた。

週刊現代の記事が秀逸! 「働き方改革」に私が感じる違和感を余すことなく語る(本気論 本音論)

 昨年の大炎上ですべての出演番組を降板、その後日本維新の会に擁立された長谷川豊氏である。この人はいつも期待を裏切らない。

 長谷川氏についてはこれまで、逆張りする俺カッケー的な振る舞いが目立つと思っていたが、これは自分のターゲット層を踏まえるという意味で非常に正しい主張だ。天然なのだろうが、この一環する保守的なマインドがあるからこそ、あれだけ大炎上しても一定の支持は残るのだろう。歯がゆい。

  
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