2024年4月25日(木)

ネット炎上のかけらを拾いに

2017年4月27日

 本来の意味での確信犯だけに、炎上しても記事を取り下げることはないのだろう。

年金払い損世代のつらみは届かないのか

「炎上商法」
「炎上狙い」
「ほんとに反対意見しか見なくて久々にきれいな炎上を見た」

iStock

 怒りというよりももはや呆れといったコメントが続々と並んだのが、4月24日に掲載された現代ビジネスの記事「日本人はすでに先進国イチの怠け者で、おまけに労働生産性も最低な件」。「週刊現代」4月29日号の記事がウェブに転載されたものだ。

 内容は、日本人の週労働時間(製造業)がG7(先進7カ国)の中で「かなり短いほう」であることを例にとって、現政権の政策を「『働き方改革』ではなく、『働かない改革』だ」と批判。日本の衰退につながるし、「働かないで豊かさだけを得る」のは「虫がよすぎ」という識者のコメントを紹介する。

 記事の末尾は「働かざる者食うべからず。この言葉を忘れると、日本人の末路は本当に哀れなものになるだろう」という、まるで脅しのような文句で締められている。

 冒頭で紹介したように、ネット上ではほとんど賛同意見は見られない。強烈な反発というよりも、もはや「何言ってんだコイツ」状態である。これは筆者の私見だが、ツイッター上では特に、「若者に対する労働搾取」への強い反発がある。生活保護やヘイトスピーチ、ジェンダーなど、他の問題に関してはさまざまな意見の対立があるが、こと「若者の労働環境の悪さ」「長時間労働への嫌悪」「パワハラや圧迫面接」といった話題に関しては、一致団結して糾弾する風潮がある。残業の上限が「月100時間未満」で決着した際の反発も大きかった。

 別件だが同じく今週、読売新聞で紹介された高齢者のこんな意見も反発とともに拡散された。

「若い方はお金にシビア。「サービス残業はやらない」なんてとても寂しい。思いやりに欠けている」(埼玉県、60代)

 この一文への秀逸な返しが、こちら。

「お年寄りはお金にシビア。「残業代は出さない」なんてとても寂しい。思いやりに欠けている」(××県、20歳代)

 世代による隔絶は確かにあり、ツイッター上では「どうせ我々年金払い損なんでしょう」世代の意見が圧倒的に優勢だ。

 だからこそ、この現代ビジネスの記事は「炎上目的」の「煽り記事」にしか見えない。ジャーナリストの津田大介氏も「現代ビジネスのこの記事は炎上商法を狙っているのかなと思うほど時代錯誤な記事で驚いた。「俺たちのころは良かった。比べて今の若者は……」の変形でしかなく、そういうことを言いがちな世代をムダに慰撫するだけの記事でしかないよねこれ」とつぶやいた。


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