2024年4月27日(土)

WEDGE REPORT

2017年7月7日

42年後に同性婚が合法化

 2002年にようやく、Sexual Orientation Non-Discrimination Act(ゲイ差別撤廃法案)がニューヨーク州議会で可決され、ジョージ・パタキ州知事が署名した。性的指向を理由に、住居、職場など公的な場所で差別を禁じることが、ようやく法として成立されたのである。

 そしてストーンウォールの反乱から42年後の2011年6月、アンドリュー・クオモ州知事が同性婚を合法化させた。これまで日陰者扱いされてきたゲイカップルたちが、公然と市庁舎に行って婚姻届を出すことができるようになったのだ。

 筆者がニューヨークに移住した1980年、ゲイの人々はすでに社会のあらゆる分野で活躍し、男性の4人に1人はゲイと言われていたほどメジャーな存在だった。だがくったくなく底抜けに明るく振舞うその裏で、彼らは毅然と差別と戦い続けてきたのである。こうして勝ち取った権利を誇り、同時にエイズで亡くなった友人たちを追悼するイベントが、このゲイプライドパレードの真髄なのだ。

トランプ政権の反動で一層盛り上がったパレード

 現在のアメリカは、トランプ政権が医療保険や公立教育機関など、一般市民の基本的権利をあらゆる角度から崩壊させようと試みている。人種間の対立も表面化し、かつてないほどヘイトクライムも横行するようになった。

 そんな世相の中で、今年のゲイパレードは、ニューヨーカーにとってゲイの人々だけではなく、市民全体の自由を守る象徴でもあった。

 ゲイではない一般のカップルや家族連れ、スポンサーとなった各種の企業団体、黒人、アジア人、ヒスパニック系など多くのマイノリティグループもパレードに参加して、LGBTQの象徴である虹色の旗を振る姿が通りを埋め尽くした。

 その発端の舞台となったストーンウォールインは現在改装されて再営業しており、その前にある小さな公園は、1年前の2016年6月オバマ大統領によって国立モニュメントに指定された。

■編集部より:3ページ目「性的嗜好」は正しくは「性的指向」でした。お詫びして訂正致します(2017/07/19  9:10)

  
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