今月の旅指南

2011年3月26日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

東洲斎写楽
「大谷鬼次の江戸兵衛」
東京国立博物館蔵

 1794(寛政6)年の夏、江戸の浮世絵界に彗星のごとく現れ、わずか10カ月の間に140点あまりの作品を残して忽然と姿を消した東洲斎写楽〔とうしゅうさいしゃらく〕。

 実名、年齢、出身地、門歴……すべてが不明のままだったうえ、写楽を売りだした版元・蔦屋重三郎〔つたやじゅうさぶろう〕も堅く口を閉ざした。そのため、“謎の浮世絵師”と呼ばれ、他の著名な絵師が使った変名ではないかという「写楽別人説」が数多く唱えられた。しかし、そんな写楽の正体探しも、最近は、阿波藩の能楽師・斎藤十郎兵衛だとする説が有力視され、一応の決着をみせているようだ。

 今回の展覧会は、こうした正体探しのミステリーから卒業し、あらためて作品の魅力を解明しようとするもので、写楽のほとんどすべての作品を一堂に集めている。

 写楽版画の芸術的評価は、海外で始まった。1910年にドイツの浮世絵研究家ユリウス・クルトが世界初の写楽研究書『SHARAKU』を刊行し、「レンブラント、ベラスケスと並ぶ世界三大肖像画家」と激賞したことがきっかけで世界中の注目を集めた。にらみをきかせた目や真一文字に結んだ口、大きなわし鼻、インパクトのある手の動き……。単純化され、誇張された表現の中に何が隠されているのか。あらためて、写楽芸術の秘密に迫ってみたい。

特別展「写楽」  
〈開催日〉2011年5月1日~6月12日 
※5月16日、5月23日は休館
〈開催時間〉9時30分~17時 
※土・日・祝日は18時まで開館(いずれも入館は閉館の30分前まで)
〈会場〉東京都台東区・東京国立博物館(山手線上野駅下車)
〈問〉03(5777)8600
※東日本大震災の影響により、本展覧会は会期・開館時間が変わりました
http://sharaku2011.jp/

 

◆ 「ひととき」2011年4月号より

 

 

 

 

  

 
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